前回に引き続き、アフターコロナ時代に取り組むべき施策について紹介しよう。新型コロナウイルスの感染抑制を目的とした強烈な自粛要請や衛生指導は、消費者の生活様式や価値観、嗜好を大きく変えてしまった。従前のコンセプトや運営方針、商品サービス、ハード設備では宿泊者の満足が得られない可能性がある。早めに対策を講じて良いスタートを切りたい。
6、屋外を感じさせるプラン作り
4月以降の緊急事態宣言の最中でも首都圏の公園や屋外施設は多くの人でにぎわっていた。3密を避けることができるというイメージから人気を集めたものと思われる。この傾向は宣言解除を控えた湘南地区でも見られた。神奈川県藤沢市の片瀬海岸には県内外から多くの観光客が訪れ、国道は大渋滞になった。
自粛期間中の外出の是非は別として、このような消費者行動は旅館・ホテルが今後集客するためのヒントになる。しばらくは屋外をイメージする観光地や施設、プランが人気を集めることになるだろう。屋外イメージを出しにくい施設は、近隣の屋外型アクティビティ施設との提携やチケット販売、サイト上での紹介などで集客力を補うことをお勧めする。
7、目先の売り上げ・客数にこだわりすぎない
年明けから数カ月も自粛営業や休業を強いられていると、宣言解除後に1日でも早く売り上げ・客数を回復させたいという思いになりがちだ。もちろん、業績改善に必要な施策を実施するのは問題ないが、売り上げ・客数にこだわりすぎるのは良くない。地域のダンピング競争を激化させてしまうからだ。
すでにOTAの検索キーワードの上位には割引に関係する単語が並び、厳しい低価格競争が危惧される。
再開をお待ちいただいたお客さまへの感謝の意で販売促進するのは良いが、少ない顧客を各施設が極端な低価格で奪い合うのは健全ではない。もし、地域の施設同士で話し合えるならば、アフターコロナ時代に地域としてどのような商品サービスを提供し、発展していくか方針をすり合わせた方が良いだろう。
(アルファコンサルティング代表取締役)