前回に引き続き、変調が懸念される2020年においても持続的成長するためのポイントを紹介しよう。19年はインバウンドの減速基調、客室の供給過多による足元の稼働率低下、金融機関の態度硬化が見られるようになった。変化に対応できず足をすくわれないよう気を付けたい。
7、健康志向の高まりに対応する
消費者の食に対する健康志向は年々高まりを見せている。昨年、日本公庫が現在の食の志向について消費者アンケートを実施したところ、「健康志向」との回答が46.6%と過去最高となり、次いで「経済性志向」(36.9%)、「簡便化志向」(31.2%)となった。価格の安さよりも健康への配慮を求めるようになった証左と言えよう。
実際に、コンビニやファミレス、居酒屋で商品を注意深くチェックすると、高タンパク質、低糖質をうたったものが大幅に品ぞろえを増やしていることが分かる。
また、フィットネスジムの尋常でない混雑ぶりを見ると、消費者が肥満防止や健康づくりにいかに高い関心をもっているかが分かる。
旅館・ホテルの料理も、量や品数、豪華食材をアピールしても評価が得られない時代になってきた。客層によっては高タンパク質、低炭水化物を基本としたダイエット志向のものに見直すことが望ましいだろう。
8、泊食分離に積極的に対応する
外資系のOTAやホテルチェーン、ランドオペレーターなど、日本の宿泊業の商習慣にとらわれない企業が存在感を増している。このような企業と積極的な取引を進めるならば、料金体系を泊食分離したものに見直していく必要があるだろう。
これまでの1泊2食のプラン料金を見直さずに、海外OTAやランドオペレーター向けのプランを追加すると、プランごとの料金・内容の逆転現象が起きたり、異常に高価格で競争力のないプランになったりすることがあるので注意したい。
泊食分離を進めるための具体的なステップや計算方法は本コラムのバックナンバーを参照してほしい。
(アルファコンサルティング代表取締役)