前回に引き続き、予算や人員に限りのある中小旅館・ホテルでもできる滞在中サービスの魅力アップ策を紹介しよう。旅館・ホテルの滞在中の満足度は、チェックイン後や夕食後に提供される館内外のサービスで一層高めることができる。
客室は、旅館・ホテルの中で過ごす時間が最も長い場所であるが、代わり映えのない間取りや内装、調度品、備品のままになっている館は少なくない。サービス係が部屋に案内した後に、お客さまがスマートフォンばかりいじっているようであれば、客室に退屈している可能性がある。飽きさせないような工夫をしたい。
最も取り組みやすいのが、客室内のオーディオビジュアル環境の改善である。テレビはほとんどの客室に備えられているが、視聴率は年々低下傾向にあり、全く見ないというお客さまも珍しくない。代わりに人気を集めているのがネット動画である。カップルやファミリーをターゲットとする館であれば、ネット動画の視聴環境を整えると喜ばれるだろう。
非日常性を楽しんでもらうのであれば、プロジェクターと大型スクリーンを設置すると良い。家庭用テレビを超える画面サイズならば、滞在中の魅力アップにつながるだろう。海外製品が主流となり、100インチを超えるサイズが投影可能なタイプでも数万円から買うことができるようになった。
ネット動画が見られるようあらかじめ設定しておくほか、お客さまのスマートフォンと接続して写真や動画が見られるようにしておけば、旅の思い出を大画面で楽しんでもらえるだろう。予算の関係上、プロジェクターの設置が難しければ、既存のテレビでネット動画が見られるよう設定するだけでも満足度アップにつながる。
ワイヤレス接続できるスピーカーを設置しておけば、プロジェクターの音響効果を高めることができるだけでなく、お客さまのお気に入りの曲をBGMとして流すこともできる。広縁やテラスに置いたリラックスチェアで、BGMを聴いて過ごしてもらえれば、滞在中の満足度を高めることができるだろう。
(アルファコンサルティング代表取締役)