【観国之光 439】ツーリズムEXPO 旅行意欲の強さ実感 観光経済新聞 論説委員 内井高弘


会期中、一般日には10万人ほどの来場者が。旅行意欲の強さを感じさせた

 「未来に出会える旅の祭典」をテーマに、世界最大級の旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン2023」が10月26~29日、大阪市のインテックス大阪で、19年以来4年ぶりに開催された。新型コロナ禍後の旅行機運を盛り上げる意味で、その成否が注目された。

 主催者(日本観光振興協会、JATA、JNTO)によると、世界70の国と地域、1275の企業・団体が出展し、会期中、14万8062人が来場した。前回の大阪開催(10月24~27日)では、47都道府県、100カ国・地域から1475社・団体が出展し、来場数は15万1099人だった。

 今回はわずかに下回ったが、一般日の28日は4万8305人、29日は5万597人が来場。コロナ禍で観光は大きなダメージを被ったが、2日間で10万人近い人々が足を運んだことは、旅行に対する意欲は依然として衰えていないことがうかがえる。観光業界として旅の魅力、価値を伝えられたのではないだろうか。

 世界9カ国の観光大臣らが出席した観光大臣会合や、4年ぶりの完全対面方式となったVISIT JAPANトラベル&MICEマート2023、「万博×観光シンポジウム」など、時宜を得たプログラムも実施され、充実した4日間だった。

 関係者の頭の片隅には25年の大阪・関西万博(4月13日~10月13日)、その後に控える大阪IR(統合型リゾート)があることは想像に難くない。会期中に万博×観光シンポの開催や、2025年日本国際博覧会協会会場運営プロデューサーの基調講演など、機運醸成に一役買った。

 万博やIRは観光振興とも絡むだけに「何とか成功を」と望む関係者は少なくない。

 とはいえ、どうもいい話が聞こえてこない。つい最近では、「万博パビリオンの出展を表明していたメキシコが撤退する意向」とのニュースが流れ、他国への連鎖を心配する声も上がっているという。

 また、会場建設費が資材や人件費の高騰を理由に規模が膨らみ、総額は当初の1.9倍、最大2350億円になることに批判も高まっている。建設の遅れも指摘され、開催の是非論が出ていることは残念でならない。

 また、IRにしても開業時期は当初の29年後半から30年秋ごろと先延ばしされたと聞く。事業者がIRから撤退できる「解除権」が認められたことも影を落としそうだ。

 来年のツーリズムEXPOジャパンは9月26~29日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される。大阪・関西万博を控え、大いに盛り上がってほしいが、まずは万博が国民に支持され、国を挙げての一大プロジェクトとなることを願ってやまない。


会期中、一般日には10万人ほどの来場者が。旅行意欲の強さを感じさせた

 
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