【観国之光 289】新しい生活様式 観光にどう生かすか 本社論説委員 内井高弘


新しい生活様式で旅館などでの食事風景も変わってくるのだろうか(写真と本文は関係ありません)

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、緊急事態宣言が5月31日まで延長された。その一方、宣言の対象都道府県について、34県の解除が検討されている。自粛の緩みにつながらないか心配だ。

 コロナの抑え込みに成功したかのように思えた韓国では、ソウル市内のクラブで集団感染が起き、今また感染拡大の懸念が高まっている。コロナ禍は依然として予断を許さない状況にあることを国民一人一人が肝に銘じるべきだ。

 コロナとの戦いは長期戦を強いられそうで、4日には政府専門家会議が「新しい生活様式」なるものを提言した。これから再開されていくであろう社会経済活動と両立しながら、国民が実践すべき感染防止の具体策をまとめたものだ。

 例えば、移動に際しては「帰省や旅行は控えめに、出張はやむを得ない場合に」「発症した時のため、誰とどこで会ったかをメモする」、冠婚葬祭などの親族行事では「多人数の会食は避ける」、働き方のスタイルについても「テレワークやローテーション勤務」「対面での打ち合わせは換気とマスク」など、きめ細かに示している。

 食事についても、(1)対面ではなく、横並びで座ろう(2)料理に集中、おしゃべりは控えめに(3)お酌、グラスやお猪口の回し飲みは避け(4)大皿は避けて料理は個々に―などと呼び掛けている。感染防止の観点から、宿泊施設も食事の在り方について見直さざるを得ないだろう。

 提言では飲食店など業種ごとに、長期にわたって感染拡大を予防するためのガイドラインを作成するよう強く求めたいとして、その際のポイントを示した。詳細は厚生労働省のホームページ(5月4日付、新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言)をご覧いただきたい。

 ガイドライン作成にあたっては、「提供しているサービスの内容に応じて、感染経路である接触感染と飛沫感染のそれぞれについて、従業員や顧客等の動線や接触等を考慮したリスク評価を行い、リスクに応じた対策を検討する」よう求めた。

 暮らしや事業活動の細かい部分まで政府が指示するかのような状況を快く思わない人もいるだろう。これまでになかった状況だが、感染症との戦いに打ち勝つためには、ある程度受け入れざるを得ないのではないか。

 ただ、提言はコロナ後の未来図も感じさせる。新しい働き方のスタイルはビジネスチャンスとまではいえないが、観光業においてどう新需要を取り込むか、考えるきっかけになりはしないか。「出口」の向こうに希望があることを信じて危機を乗り越えていこう。

 
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