【観国之光 243】東日本大震災8年 観光復興へ思い新たに 本社論説委員 内井高弘


三陸鉄道の新生「リアス線」が近く開通。観光客の“足”としての活躍が期待される

 東日本大震災から11日で8年。風化が指摘される中にあっても、3・11は鎮魂の日であることに変わりはない。犠牲者の冥福を改めて祈るとともに、震災の記憶と観光復興の取り組みを後世に伝えていく役割を少しでも果たせればと思う。

 当時の出来事は今でも思い出すことができる。これまで経験したことのない大きな揺れ、つながらない携帯電話、動かぬ電車、家路を急ぐ人の波、食料品が消えたコンビニエンスストア…。何より、ニュース映像で見た津波の恐ろしさを忘れることはできない。

 警察庁によると、8日現在、死者は1万5897人、行方不明者は2533人に上る。改めて災害の大きさを実感する。観光でもボランティアでもいい、さまざまな機会を通じ、被災地に足を運び、自分の目で被災地のいまを見てほしい、それが復興の後押しになる。

 震災で被災、不通だったJR山田線の宮古―釜石間(55.4キロ)が三陸鉄道(三鉄)に移管され、3月23日、「リアス線」として運行を開始する。これにより、盛駅(大船渡市)から久慈駅(久慈市)まで163キロが全通する。生活の“足”だけでなく、観光復興が加速することを期待したい。

 2月10日、東京都内で開かれた「復興応援・復興フォーラム2019in東京」で、三鉄の中村一郎社長は「震災学習列車」などイベント列車の運行に意欲を見せた。沿線では高い防潮堤や土地をかさ上げする工事が続いている。車窓からの風景に想像力を働かせるだけでも意味はある。

 観光業界も震災を忘れてはいない。全国旅行業協会(ANTA)は2月中旬、福島県郡山市で国内観光活性化フォーラムを開き、会員5600社の力を結集し、3月から12月末までの10カ月間に10万人を福島へ送客するキャンペーンの実施を決めた。

 二階俊博会長(自民党幹事長)は「観光を通じて、復旧・復興、発展していこうという地域にしっかり協力していきたい」と述べた。震災と福島第1原発事故という二重苦の福島県にとって心強い言葉になるのではないか。

 9月のラグビーワールドカップ日本大会で東北唯一の試合会場となるのが釜石市だ。津波で大きな被害が出た小中学校の跡地に作られた「鵜住居スタジアム」には外国人も足を運びそうで、宿泊先が心配されている。市は特定のイベント開催時に限り民家を宿として提供する「イベント民泊」の準備を進めているという。これが交流人口拡大のきっかけになればいいと思うのだが。

 8年が長いのか、短いのか、受け止め方はさまざまだが、業界はこの日を強く意識し、観光復興への思いを新たにしてほしい。 


三陸鉄道の新生「リアス線」が近く開通。観光客の“足”としての活躍が期待される

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒