【観光業界人インタビュー】ルレ・エ・シャトーCEO ジャン・フランソワ・フェレ氏


ルレ・エ・シャトーCEO ジャン・フランソワ・フェレ氏

ルレ・エ・シャトーの魅力

旅館会員の増加に注力 ルレ入会で二つの特典

──ルレ・エ・シャトー(ルレ)はどういう組織か。

 「ホテルのオーナーやシェフによる個人経営、家族経営の魅力的な高級ホテルや一流レストランが加盟する協会だ。発祥の地であるフランスに本部があり、世界62カ国に540軒の加盟メンバーがいる。そのメンバーによって運営されている」

──昨年創立60周年を迎えた。

 「日本では『還暦』であり重要な年だ。ルレも同じで、第二の人生を歩み始めたと言える。60年を機に、新しいビジョンを作り、今まで以上にブランディングの強化や規模の拡大について考える重要な1年だった。昨年掲げたビジョンとはわれわれの根幹のコンセプト、つまり本物であることと家族経営的なマネージメントを守りつつ、さらに長期に渡ってダイナミックに活動していくために、食とおもてなしをキーワードに、もっと素晴らしい世界を作っていくものだ」

──日本のメンバーは現在何軒か。

 「15軒でそのうち宿泊施設は7軒。宿泊施設についてはまだ少ないので特に旅館を増やしたい。地域では日本の伝統と本物を感じられる京都にメンバーがいないので欲しい。今年は新しい地域の北海道と九州にメンバーが新たに加わった。戦略的にもポテンシャルの高い地域からメンバーが生まれたことは嬉しい。今後は九州だけにとどまらず、さらに南の沖縄でも増えれば喜ばしい」

──日本のどこに魅力を感じるか。

 「食の質の高さを第一にあげたい。和食はフランス料理と同様にユネスコ無形遺産に登録されている。フランスではフランス料理店で活躍する日本人シェフがすごく増えている。日本人の料理に対する考え方が支持されている現れだ。二つ目はおもてなし。旅館文化は日本でしか体験できない。そのおもてなしのレベルの高さは強みだと思う」

 「フランス人がよく使う言葉に『アール・ド・ヴィーヴル』、日本語に訳すと『人生を豊かにする術』。それには食とおもてなしと芸術が重要な要素となる。北斎の浮世絵がヨーロッパ、フランスですごく知られているように、日本式のアール・ド・ヴィーヴルは世界で受け入れられている」

──日本の観光にアドバイスは。

 「日本には料理、文化、自然など外国人を引きつける魅力は存分にある。まず知ってもらうことが大事だ。それ以上に日本人は言葉の問題や文化の違い、外国人を受け入れることについて、恐れというかバリアを持っている。バリアを取り払って、もっと開かれた国だと日本人自身が見せられるようになれば、外国人も安心して来られるようになる」

──旅館のスタイルについてはどう思うか。

 「もっとも感動したのは、旅館に着くと女将さんが出迎えてくれて、仲居さんが部屋まで案内してくれる一連の触れ合いだ。おもてなしの部分が旅館の本当の文化だと思う。温泉で裸になることは一度ハードルを越えてしまうと、それが心地よく好きになった」

──旅館を「RYOKAN」と表記して世界に発信するのはどうか。

 「RYOKANという言葉を浸透させるには、それぞれの言語で的確な言葉を探さないといけない。フランスであれば『オーベルジュ』、おいしい料理をゆっくり堪能できる宿泊施設という意味だが、比較的イメージが伝わりやすいと思う。ただそれだけで旅館を説明するのは無理なので、少しでも旅館のコンセプトに近い言葉で説明し、さらにもっと踏み込んだ食事、サービス、温泉といった旅館特有の文化を詳しく説明することで、世界に浸透していくのではないか」

──日本での今後の展開は。

 「ルレの知名度はヨーロッパでは抜群であり、アメリカでもかなり浸透してきた。日本ではまだ十分認知されていないが最高のメンバーが加わることでブランドを表現できる」

 「入会すると二つ特典が考えられる。世界中の最高レベルのレストラン、宿泊施設のメンバーの一員として一つの『国際的なクラブ』に受け入れられること。もう一つは、世界中の顧客、マーケットにアクセスできる。ルレでは多言語のホームページや、マーケティングツールを用意している。ルレのノウハウを使って世界に打って出ることができる。メンバーになることは一つの夢が叶うということ。それくらいオーナーにとっては感動的なことだと思う」

【じゃん・ふらんそわ・ふぇれ】

ルレ・エ・シャトーCEO ジャン・フランソワ・フェレ氏

 
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