近頃は小規模な建物を設計するときに木構造を選択することが多いです。設計で最初に考えるのは構造でRC造、S造、木造で迷いますが、その中で木造を選択する理由は建物が軽く基礎が簡素で済むこと、柱梁が小さく階高を低くコンパクトな平面になりコスト面で有利になるからです。
もう一点は建物のLCA、ライフサイクルアセスメントで建設時から解体する時までのCO2排出量を評価すると木造が一番低いことです。下記の表で集合住宅になりますがRC造が1平方メートル当たり697キログラム―CO2に対して木造が267キログラム―CO2と40%弱になり、炭素貯蓄量は木造が約4倍と多く、木造で造ることが脱炭素社会に向いているからです。このことは大規模な木造建築が最近増えていることにつながります。
しかしいずれの構造でも建設時には多くのCO2を排出するので簡単にスクラップ&ビルドに走らずに維持管理に努めて永く使い続けるのが得策です。旅館には高度成長期の法定耐用年数50年を超えた建物が多くあります。永く使い続けるにはしっかりした躯体が必要です。1981年6月に新耐震基準が施行されてからでも32年経過しています。
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