【竹内美樹の口福のおすそわけ 317】思い出の味 その2 そら豆 宿泊料飲施設ジャーナリスト 竹内美樹

  • 2020年5月1日

 例年であれば、ゴールデンウイーク前のこの時期、香川県に筍(たけのこ)の仕込みに行っていたハズ。超美味な筍を、缶詰にするのだ。最盛期はあっという間だが、缶詰なら1年中その味を楽しめる。筍同様日本には四季折々旬の食材があるが、毎年今時分になると気になって仕方ないのが、そら豆。スーパーで見かけ、まだ走りだから高いなぁなんて思っているうちに、スグ売り場から消えてしまうから気が抜けない。

 南北に長いニッポン。産地は南から北上して来る。旬が最も早いのは、全国トップの生産量を誇る鹿児島県産。大粒で甘味が強く、品質の高さから「かごしまブランド産品」に指定されている。中でも出荷量ダントツ1位の指宿では、11月下旬から出荷が始まるというからビックリ。だから、そら豆の季節だなぁと感じる初夏ごろには、すっかり収穫が終わっている。

 その旬を逃してはなるまいと活用しているのが、ネット通販。ステイ・ホームを楽しく過ごすために、食材のお取り寄せがちょっとしたブームになっているようだが、筆者は元々通販オタク。指宿産のそら豆を、ポチっとクリック。

 届いたそら豆は、莢(さや)がぷっくり膨らんで、見るからにおいしそう。購入したのは莢付き2キロ。約40本で可食部は約600グラム、豆粒に換算すると約95~105粒だそう。およそ100粒程度を家族5人で一気に完食した計算になる。あまりのおいしさに、次回は莢ごと焼いて食べたいと思ったのだが、既に終売。次なる地域は四国地方。いざ、ゲットでござる!

 その後、生産量全国第2位の千葉県、第3位の茨城県へと産地が北上するさまは、桜前線ならぬ「食いしん坊そら豆前線」とでも言おうか。時期によって味わいも異なる。走りの頃は、珠柄(しゅへい)と呼ばれる莢と豆をつなぐ部分から栄養が送られている最中なのでみずみずしく、名残の時期になると、栄養補給が完了し、発芽の準備で糖分がデンプンに変わるため、ホクホクとした濃い味に変化するのだ。

 タイトルは「思い出の味」だが、忘れられないのは初めて畑で見たときのビジュアル。莢が空に向かって伸びるから「空豆」「天豆」と呼ばれるが、ホントに実が上を向いてるじゃないか。重たくないのか!と声を掛けたくなった。実が十分成熟して下を向いてきたら、収穫の合図だそう。

 莢が蚕(かいこ)のようだと「蚕豆(そらまめ)」と書かれたり、一粒のサイズが3センチくらいだから「一寸豆(いっすんまめ)」と呼ばれたり、いろんな呼称があるが、それだけ人々から愛されている証拠だろう。ちなみに、中国から伝来したから「唐豆」とも言うが、豆板醤(とうばんじゃん)の原料ということは案外知られていない。

 紀元前5000年ごろのスイスの遺跡から種子が発見されたそうで、古くからヨーロッパでも親しまれてきた。日本でも江戸時代の書物に「そらまめは百穀より先に熟す」と書かれており、食糧の減る春先の貴重な食べ物だったようだ。

 人類に長い間貴重な栄養を補給してくれていたことに感謝。えらいぞ!そら豆。

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
 
 
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