【竹内美樹の口福のおすそわけ 253】蟹かにワールド! その17 ベトナム蟹料理


蟹のグリル

 久しぶりに、ベトナム・ホーチミン市へ。何度も訪れているが、今回初めて行ってみたのが、地元の蟹(かに)料理専門店。ガイドブックに掲載されているほど有名な「Quan 94 Goc」(以下クアン94)という店で、何とすぐ隣に「Quan Thuy 94 Cu」という、とてつもなく似た名前の店がある。ネットで調べたところ、コチラはパクリだとか。クアン94は94番地にあるからホンモノで、隣は84番地だからニセモノだというのだが、パクリ店の方がおいしいという噂なので、悩ましい。

 結局タクシーの運ちゃんが、「絶対にコッチ!」とクアン94の前に車を停めてしまったのでそのまま入ったが、同行者たちが大丈夫か?と心配したのももっともだ。店の入り口が調理場になっていて、そこで中華鍋を振ったり、蟹を揚げたり。つまり、超ローカル大衆食堂って感じなのだ。

 席に着いた途端、ゴン、とテーブルに置かれたのは、山盛りの野菜とハーブ。エゴマやドクダミの葉の他、何やら分からない葉っぱが。コレを巻いたり混ぜたりして食べるらしい。

 注文した料理が、次々運ばれてきた。まず蟹肉の春雨炒め。ほぐした蟹肉が、これでもかと混ざっている。日本では考えられない量だ。続いて蟹爪の唐揚げ。コチラも日本ならすり身で増量してあるところが、衣の中をのぞいてみると、蟹爪の上にもう一つ蟹爪肉が載っていてビックリ!

 そして、看板料理であるソフトシェルクラブの唐揚げ。脱皮直後の殻の軟らかい蟹に衣をつけて揚げたもので、ベトナムではよく見かけるし、市場に行けば、活(い)けのままギッシリ整列させられた状態のソフトシェルクラブを見ることができる。コレが楽しみだったのよねぇ~♪と、大好物に早速かぶりつけば、歯触りサクっと中はジューシーで、超ベリウマ。

 お次は蟹炒飯。ベトナムで栽培されているお米の多くはインディカ米で、パラッとしているから炒飯によく合う。たくさん入った身の中から卵を発見! ホクホクで濃厚な味わいに、とっても得した気分になる。

 最後は蟹のグリル。焼く前に活きた蟹を見せてくれたが、爪が動かないように太い縄で縛られているところを見ると、どう猛なのだろう。これはマングローブ蟹、英名マッドクラブ、つまりノコギリガザミという渡り蟹の仲間だ。マングローブ林の多い、ベトナム最南端のカマウ省がこの蟹の名産地で、ホーチミンでよく食されるという。

 シンプルに焼いただけだが、焦げ目が付いて香ばしく、蟹の甘味が際立つ。ミソは上海蟹には負けるが、それなりにうま味がねっとりと舌にまとわり付く。

 前の週、大連で、上海蟹をいただいた。市内でなく開発区だったからか、蒸し蟹は出せても蟹肉を使った料理はできないと言われたが、ここは屋台に近いような店なのに、これだけの蟹料理を提供するとは!

 蟹シリーズも既に15回。でも、まだまだ食べ続けるぞ! 次はどんな蟹に出会えるか? 楽しみぃ~♪

※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

店舗の様子

店頭から見た店の様子

山ほど野菜が運ばれてくる

蟹春雨

蟹爪の唐揚げ

ソフトシェルクラブの唐揚げ

蟹炒飯

蟹のグリル

 
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