【私の視点 観光羅針盤 321】SDGsウォッシュ 吉田博詞

  • 2022年2月14日

 SDGsウォッシュとは、SDGsとホワイトウォッシュ(見せかけ・誤魔化し)を組み合わせた造語で、SDGsに取り組んではいるが、実態が伴わず表面的な取り組みをしているという批判的意味合いで使われている。地球温暖化への対策を含めて、世界的な取り組みが加速する中で、ESG投資等もしっかりと取り込むことが経営にも求められてきている。

 その結果、大小問わずどの企業や組織においても何かしらの取り組みが期待され、SDGsへの取り組みはやっていたら少し先進的という時代から、やっていて当たり前、やっていないと選ばれない、排除されるという圧力も強くなってきている。結果的に、チェック項目の埋め合わせ的な動きが増えているのが、この言葉で揶揄(やゆ)されるようになっている背景だろう。

 今一度、SDGsへの取り組みを何のためにやっているのか、やっていく必要があるのかという観点で立ち止まって、自分事化しながら再整理をしていく必要がある。

 地域や観光文脈で見ていくと、サステナブルツーリズム促進も大きな概念としては同類の文脈で取り扱われるが、一つの信念を明確に打ち立てていけると、取り組み自体がもっと明確になって、共感を呼べるに違いない。それは「地域の未来、子供たちやその次の世代を幸せにする」という観点から組み立てていくと、必要な事項や目的がもっと身近に感じられ、取り組み自体の意味合いが増していくだろう。

 SDGs等への取り組みにおいて、認定を受けることを目的に設定していることが多いのは非常に惜しいことである。サステナブルツーリズムにおいては、環境、経済・社会、文化の三つの観点が必要だといわれているが、地域のより良い未来というゴールを全体の共通のゴールとして、地域の皆さんも納得感がある形で取り組んでいけるかが鍵になる。

 これまでも、世界遺産や重要伝統的建造物群保存地区等の各種認定制度を導入して、その認定を観光活用していく手法は数多くあった。

 これらは規制ばかりが強化されて、地域住民にとってのメリットは観光客数増加という尺度で語られることが多かった。認知拡大・一時的な観光客数増大・地域の負担増・来訪客や地域住民の満足度減というサイクルに陥っている事例は数多くある。

 本来は、取り組みによって地域全体の経済性が好循環に転化し、地域住民の生活の質向上につながるというサイクルが描かれて実行されているのが望ましい姿ではないだろうか。

 今後の観光再生を考えると、取り組み自体は必然性として求められてくる。この導入を「やらされ」ではなく、地域全体で何のためにやるのか、そしてどんな地域を実現していこうとするのか、地域の未来を一緒に考えながら経済的持続性を含めたベストな在り方を議論していってほしいものだ。

 せっかくやるなら、揶揄されるより共感してもらい、関係者の経済的・精神的安定につながるサイクルが出来上がることを期待したい。

(地域ブランディング研究所代表取締役)

 

 
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