【私の視点 観光羅針盤 271】高級宿泊施設が地域体験のハブに 地域ブランディング研究所代表取締役 吉田博詞


 新型コロナウイルスの影響が落ち着かない中においても、高級ホテルの進出計画は止まらず展開されている。コロナによって所得水準の2極化はより拡大している状況でもある。富裕層は財政出動に伴う株高等で富を拡大し、辛い状況に置かれている方は生活がよくなる展望はなかなか見いだせていない。

 アフターコロナの地域経済の再生を考えていくと、高所得者が地域で使ってくれる消費の拡大も一つの鍵となってくるだろう。世界的に見ても、富裕層が旅行において大事にすることの一つが宿泊施設である。続々と増えている外資等を含めた高級ホテルとの地域連携がより強化されていけば、地域経済への波及効果もより大きなものになるだろう。

 多くの施設における接遇や設備のサービスは世界的な水準が担保されてきている中で、差別化要素がより地域らしさの取り込みといったところになってきている。地域のこだわり食材を取り入れた食事や、地域の伝統工芸品等の販売、館内の調度品においても地域文化を散りばめていく展開は多くの宿泊施設でなされている。その中で、最近はアクティビティの強化も大きなポイントとなっている。

 世界的な高級ホテルブランドの一つであるザ・リッツ・カールトンでは、それぞれのホテルにゲストエクスペリエンスマネージャーという方がおり、ご当地でしかできない滞在体験が創出されている。開業前から地域に入り込んでメニュー開発をする中で、滞在価値の最大化のためにアクティビティ開発がなされている。

 四季の移ろいの中で、シーズンごとに特徴的な企画が組まれていることが興味深い。また、曜日によって実施されるものを変えることで、より長期滞在の魅力を拡大している。富裕層は、自然との交流を好むことから、朝や夜のヨガといったものや、早朝ランニング等々、エリアごとのメニューは非常に魅力的である。

 日本国内のザ・リッツ・カールトンは、東京、大阪、京都、沖縄で展開され、昨年には日光、ニセコで、2023年には福岡での開業も予定されている。各エリアで提供される体験も地域性があり興味深い。

 沖縄では星空撮影や仕入れ担当と行く市場見学、日光では座禅やスノーシューハイキング、大阪では大阪城へのランニング、京都では日本酒テイスティングやお寿司(すし)の料理体験といったものが提供されている。ホテルが地域の自然や文化交流の架け橋となり、それらが滞在価値の向上につながっているという流れが理解できるだろう。

 アクティビティのプレミアム化が叫ばれている中で、こうした宿泊施設と連携しながら企画開発・展開していく流れは今後より加速していくに違いない。その他、日本各地には新たなブランドが続々と進出している。それらの宿泊施設に滞在する方が長期滞在したくなるような仕掛けを、宿泊施設と地域が一緒になって開発・運営していく流れを加速させ、より地域経済の再生が進んでいくことを期待する。

 (地域ブランディング研究所代表取締役)

 
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