【私の視点 観光羅針盤 211】豪から学ぶ酒造ツーリズムの展望 地域ブランディング研究所代表取締役 吉田博詞

  • 2019年10月7日

 ラグビーワールドカップ開催に伴い、日本各地に欧米豪の方々が滞在してくれている。これまでの予測通り、昼間からビールを街中で水のようにガシガシ飲む方が多いという現象が各地でみられている。食文化の違いを痛感している方も多いだろう。

 今回は強豪国シリーズとして、オーストラリアにおける食のツーリズム、特に酒造系の企画に関して考えてみたい。

 ワインの有名産地にハンター・バレーという場所がある。シドニーからは距離にして250キロ。高速道路を利用して車で2時間半程度離れた場所ではあるが、シドニー発の1dayツアーとして、非常に人気の企画となっている。

 シドニーのホテルでの送迎は当たり前で、市内の主要エリア5カ所程度でピックアップしてくれる。料金は日本円で1万円ちょっと、高いもので3万円程度するものまでさまざまな商品がある。

 ファンを病みつきにさせる大事な三つのポイントを整理してみたい。

 まず一つ目は、気候や環境の説明だ。夏場には40度超えもするような気候の特徴をしっかりと伝えてくれ、ここでしか生み出せない地理性を理解できる。広大な自然の中に広がるぶどう畑の景色は、それだけで写真映えする要素が満載だ。ドライバー自慢のフォトスポットに連れて行ってくれ、満足度をさらに高めてくれる。

 二つ目は、テイスティングである。ワイナリーを3軒程度じっくりと巡り、それぞれのワイナリーの歴史を理解できることや、各ワイナリーでテイスティングを5種以上できるのも魅力だ。各ワイナリーのイチオシの赤・白・ロゼ・スパークリング等を、何年ものでどんな特徴があるかをそれぞれのソムリエが丁寧に教えてくれる。気に入ったものがあれば、その場でもちろん購入可能だ。ガイドとワイナリーの連携がしっかりとなされており、受け入れ態勢が整っていることは興味深い。

 三つ目は、動物である。そう、オーストラリアを代表するカンガルーがぶどう畑をぴょんぴょんと跳ね回っているのだ。車窓からもそれらの姿を見ることができるし、ワイナリー巡りの間の時間に、ぶどう畑でカンガルーの近くに行って写真撮影ができる時間もしっかりと組み込まれている。

 これらはハンター・バレーでしかできない特別な体験である。そのストーリーや空間体験からオーストラリアのファンになる仕組みが自然とできあがっている。また、土産物消費拡大まで一連の設計がなされていることは非常に興味深い。

 日本においても、酒造ツーリズムが徐々にプログラム化されつつあるが、これらの要素をしっかりと参考にしてみると、もっと多くの誘客拡大の余地があるだろう。

 一番大事なことは、酒蔵1カ所としてでなく、エリアとして全体の背景となる自然・文化・環境を含めて、魅せるプログラムを創り上げていくことが求められている。

(地域ブランディング研究所代表取締役)

 

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