【特集 DMO財源開発】地域特性に応じた手法で 関係者間の合意形成が重要


 観光庁が作成した「観光地域づくり法人(DMO)における自主財源開発手法ガイドブック」を基に、入湯税、宿泊税、法定外目的(普通)税、分担金・負担金、協力金について紹介してきた。ガイドブックでは他にも、補助金・交付金、指定管理者制度、受託事業、収益事業などの手法を解説しているので参考になる。今回は、巻末に掲載されている「財源開発に取り組む際に想定される疑問点」のQ&Aの一部を紹介する。

目標額を設定し、地域の特性に合った選択肢を絞り込む

 Q 財源開発に取り組みたいが、何から始めたらよいか。導入を目指すべき財源をどのように決めればよいか。

 A まずは、観光地域づくりのビジョンに基づいた戦略、実現するための事業を想定する。これを進めるために必要な金額のめどを付け、計画した事業を実施するためには、現在の財源からどの程度不足しているのか見積もりを行う。その上で、採用すべき財源の組み合わせを検討する。検討に当たっては、マネジメントエリアの特性を把握し、見直すことが重要だ。ガイドブックで取り上げた財源の種類や留意点を踏まえて開発可能性を検討する。また、検討は早い段階から自治体の関係者と相談しながら進めることが重要だ。調査や協議を推進するために主要なステークホルダーとワーキンググループをつくることも有効だ。

 具体的には次のようなステップが考えられる。

 (1)マネジメントエリアの観光地域づくりのビジョン、戦略を再確認する(2)戦略に沿って事業を進めるために必要な金額を推定する(3)現在の収入や財源を分析し、財源別に将来の収入規模を算定する(4)必要な金額と収入規模のギャップを確認し、それを埋める財源開発の目標額を決定する(5)地域の特性に合った財源を選択肢として挙げ、開発可能性を検討する(6)自治体の関係者との協議を開始し、財源開発に向けたワーキンググループを立ち上げる

ステークホルダーとの合意形成

 Q 自治体と協力して特定財源の導入を目指して動き始めた。DMOが主体となって担うべき役割、注意すべき点は何か。

 A 特定財源の導入に当たっては、自治体とDMOが連携し、協力しながら進めていくことが重要だ。その際、自治体とDMOの立場の違いや特性を踏まえて、役割分担を決めていく。一般的に、DMOの人的資源は限られているため、全てをDMO主導で進めることは難しいと考えられる。DMOに期待される役割は、多様なステークホルダーとの合意形成を進めることだ。導入までのスケジュールを管理し、地域事業者、地域住民などへの説明会などを実施し、計画をスムーズに進めるために調整する。実際に、地域社会との合意形成を強引に進めてしまい、制度導入の直前で断念せざるを得なくなった例もある。

 なお、宿泊税や入湯税超過課税、受益者分担金・負担金などの導入に当たっては、条例の制定や改正などの行政手続きが発生し、これらに関する業務は自治体が主となって進めることが一般的だ。DMOは自治体と一緒になって、行政が必要とする情報を提供するなど積極的に関与する必要がある。DMOとしては、自治体の新たな観光財源をDMOに確実に配分する仕組みを構築するよう働きかけることが重要。例えば、新たな財源の一部について、柔軟にDMOに配布できる資金として運用するため、基金の創設を条例に盛り込むことを提案する手法も考えられる。

税制度は公正、合理的であることが必要

 Q 新しく地域の特性に合った法定外目的税の導入を自治体に提案する予定だ。税制度として導入することが適切であるのかは、どのような基準で判断すればよいのか。

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