
JTB会長の田川博己氏が著書「観光先進国をめざして」を上梓した。「日本の観光立国を推進するためには、1970年代の初めから見てきた日本のツーリズム産業の歴史と、JTBの100年にわたる歴史とを重ね合わせながら、未来を模索する必要がある」との思いからまとめた。
物語を求めて旅行客は動く。観光振興を進める地域が全国に発信できる観光コンテンツを開発するには、「第一にシナリオを描ける人材を確保すること、次に観光地経営できるマネジメント人材が必要」と指摘する。
「人間力」によってしか地域活性化は図れないと断言。「人間力とは、地域住民、つまり主に旅館等の観光関係者や、農林・商業の皆さんが、地域に対して抱く『熱い想い=郷土愛』と、市場に対する『洞察力』、そして『実践力』のこと」と示す。
人口が減少する日本において交流人口を増やすインバウンドの重要性も説き、「日本は、自国の魅力をしっかり世界に発信する土台ができているとはいえません。文化、スポーツ、観光というレベルを超えて、日本の歴史伝統、コト、モノを日本の47都道府県できちんと整理しているでしょうか」と課題を投げかける。
中央経済社から発行。定価は本体1600円(税別)。