40年にわたって全国の銘菓を食べ比べている著者が、土産にふさわしい銘菓の百品を厳選し、紹介している。選ぶにあたっては「歴史・風土など地域性があること」や「老舗ならではの風格・品格が伝わること」などの7項目を重視した。
「死ぬまでに食べたい絶品銘菓」の一つには、「山陰堂」(山口県山口市)の「名菓舌鼓」も選定されている。「皮と餡の区別がつかないほど、食感も甘さも溶け合う餅菓子で、真っ白で透き通るような皮は、赤ん坊の耳たぶほどやわらかい」と高く評価する。
「原点を伝える逸品銘菓」では、茶色の温泉饅頭の発祥店という「勝月堂」(群馬県伊香保温泉)の「湯乃花饅頭」も取り上げる。「ほんのりもちっとしたつっぱり気味の皮と、しっとりと甘いこし餡のほどよい割合が魅力」という。
ほか、「迷わず選びたい出張土産」や「和洋折衷が楽しい新感覚銘菓」といったカテゴリー別に計百品を選出した。
著者の中尾氏は旅行作家で、土産銘菓研究家。「TVチャンピオン」(テレビ東京系)の「全国お土産銘菓通選手権」で優勝している。町並みや鉄道、温泉分野などの紀行文も多数手がけ、現在、本紙でコラム「日本ふるさと紀行」を連載中。
「近年の土産銘菓選びの傾向として、少量でも上質なこと、高価でも美味なこと、家族や自分向けが多いこと、などが指摘できる」と著者。
土産銘菓選びの一助にと書き下ろされた一冊だが、地域の新たな銘菓を開発する参考にもなる。
発行所=NHK出版。定価は千円(税別)。