【日本茶インストラクターが勧める 素敵なお茶生活 41】日本茶の味 繁田聡子


 2煎目は90度ぐらいの湯温で、15秒ほど待ちます。カフェイン、カテキンによる苦渋味のきっぱりとした味わいを楽しめます。このような味の変化もお茶の奥深さの一つだと思います。お茶の葉の量は7グラム前後。料理用の大さじ約1杯。カレー用のスプーンなら山盛り1杯。お湯の量は多くても200cc止まりで。コクのあるお茶をご所望の場合、思い切ってお湯の量をいつもの半分ぐらいに少なくしてみて下さい。小ぶりの湯飲み、なければ、ぐい飲みでどうぞ。濃厚なうま味に驚かれることでしょう。

 急須は、300ミリリットル前後の大きさが使いやすいかと思いますが、多少大きくてもかまいません。「大は小を兼ねる」です。ただし、湯の量が多くなり過ぎないようにご注意下さい。いずれの場合もお茶の葉が中で十分に開く急須をお使い下さい。

 「お客さまが大勢いらっしゃるのよ」と、大振りの急須を慌てて求めようとする方には「お手元に何個かお持ちなら、普段お使いの急須と併せてお使いになってはいかがでしょうか」とお伝えします。

 葉と湯の量など、いつもの慣れた感覚の方が安心して淹(い)れることができると思うからです。

 「何回、お茶は出せますか」。これもよく出る質問です。

 「1煎目で6割以上、2煎目で3割ぐらい、つまり9割以上の水溶性成分は出てしまいますので、お茶屋とすると2煎までと。でも主婦とすると、味は別としても3煎まで飲みたい気持ちは分かります。その場合は熱湯を入れ、1分以上置いて出し切って下さい」と、お答えしています。

 「おいしいお茶下さい」。これは難問です。

 「どのような味がお好みですか。値段の高いお茶がお気に召すわけではないと思いますが」と、その時期お薦めの試飲茶をお淹れし、感想をうかがい、予算も含めて選んでいただきます。

 また、「100グラム当たりの単価の差と、湯飲み1杯当たりの単価は比例しないと思います。うま味があって、味の変化も楽しめるお茶は結局、お得だと思います」とも、お伝えしています。

 生産家も問屋も含めて、お茶屋は多分皆、「ウチのお茶はウマイ!」と思っているはずです。でも、自信作のお茶を売っても、お客さまがそのお茶をおいしく飲めなければ意味はありません。おいしく淹れることができて、初めて完結するのではないでしょうか。

 茶袋やしおりなどにお薦めの淹れ方を記載するのも一つの方法ですが、お買い求めのお茶に合った淹れ方のコツなどを対面でお伝えする、商品を売るだけでなく情報もいっしょにお持ち帰りいただく、これこそ専門店の真骨頂と言えるのではないでしょうか。

 商店街や個人商店の衰退が嘆かれる昨今ですが、一人一人のお客さまに丁寧に向かい合うお茶屋であり続けたいと願っています。


      

 
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