キャンプ市場が成長
2月下旬より中国で感染拡大を始めたオミクロン株。ここ上海では4月より2カ月以上に及んだ都市封鎖(ロックダウン)が6月1日午前0時から実質的に解除された。今回は、5月の労働節休暇を例に猛威を振るうオミクロン株が与えた影響と、コロナ禍の旅行スタイルに適合し発展を見せるキャンプ市場について紹介する。
◆防疫措置の強化、PCR検査陰性証明
中国政府はゼロコロナ政策とし、ウイルスは海外から持ち込まれるものとの認識に立ち、厳しい「水際対策」と迅速な「封鎖管理」を柱とする防疫措置を講じ、比較的早い時期からコロナの抑え込みに成功していた。しかしながら、オミクロン株の出現により、上海に代表される都市封鎖から省をまたぐ移動制限まで、規模の大小や種類を問わず防疫措置が強化され、混乱が生じている。
中国文化観光部の発表によると、今年の労働節休暇での国内旅行者数は1億6千万人(前年比30.2%減、コロナ前2019年比での回復度66.8%)、国内旅行収入は646.8億元(前年比42.9%減、19年比の回復度44.0%)であり、オミクロン株の影響がいかに深刻か数値的にも確認できる。
旅行関係の防疫措置の強化としては、コロナ禍に導入された観光名所や各種施設への入場に際し求められる「事前予約」「人数制限」に加え、新たに「PCR検査陰性証明」が追加されるケースが常態化するなど有形無形の制限が課せられている。
◆キャンプ市場、豊かな時間を求める新たなトレンド
コロナ禍で主流となった「短距離」「短期間」「少人数」の旅行スタイルに適合した新しいトレンドとしてキャンプ市場がある。コロナ禍当初より感染リスクの回避とリラックスを兼ねたドライブ旅行の人気は高いが、ドライブ先である都市郊外を中心にグランピング施設が整備されたことも追い風にさらに注目を集めている。
旅行メディアのMafengwo(馬蜂窩)やオンライン旅行会社のCtrip(携程)では人気の高まりを受けて、キャンプ場ランキングや、「キャンプ+星空観察」など多様な楽しみ方を特集している。なお、調査会社のiiMedia Research(艾媒諮詢)によれば、今年のキャンプ場の市場規模は、前年比18・6%拡大と引き続き成長が見込まれており、アウトドアは往来再開後の新たな訴求テーマとして期待が持てる。
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世界的な国際観光再開の動きとは別に、緩和の気配が見られない中国。残念ながらゼロコロナ政策は、秋に開催される中国共産党大会まで継続されるというのが大方の見立てである。日本は条件付きながら6月10日からの訪日観光客の受け入れ再開を発表したが、インバウンドの回復には中国人観光客の往来再開は不可欠であり、一日も早く環境が整備されることを期待する。(6月1日現在の情報に基づく)。