豪州 海外渡航再開への準備
豪州の海外渡航規制については、2021年6月中旬まで豪州人の原則渡航禁止が発表されているが、新型コロナウイルスの感染が抑制されている豪州、ニュージーランド、シンガポールの3カ国間での渡航自由化について、早ければ7月には実現の見込みと伝えられている。
実現された場合、3カ国間の往来であれば、渡航後の隔離措置免除も視野に入っているとされており、海外渡航を待ち望んでいる消費者や旅行業界にとって、久しぶりの明るいニュースとなっている。
この3カ国間の渡航自由化が十分に機能し、また、ワクチン接種も行き渡った場合、その他の感染抑制されている国とのトラベルバブルについても前向きに検討が進められるのではないかと業界内にも期待をもって受け止められている。
豪州政府は、新型コロナウイルスの影響を大きく受けている観光業への支援の一環として、4月1日から販売する国内の特定路線(33路線)、80万枚について航空運賃半額支援制度を導入した。まさに豪州版「Go Toトラベル」である。政府は割引分を航空会社に支払い、国内旅行を活性化することで、旅行先での観光業、飲食業に恩恵をもたらすことを期待している。
訪日旅行については、旅行会社も厳しい状況が続いているものの、コロナ後に早期の需要回復が見込まれるリピーター層に向けて22年春の桜をターゲットとした商品の販売が開始されており、また新たな行程の商品化が検討されている。当所がホールセラー、ツアーオペレーターを対象に、今後のツアー造成状況等を調査した結果、「今後新たなルートを造成する」18%▽「既存行程に新規地域を追加する」20%▽「検討中」38%▽「行程の変更無し」24%―との結果であった。(21年3月実施/回答数76)=図表参照。
新たなツアーや行程を検討している内容として「サイクリングやウォーキング等の体験」「文化的な要素」等、自然を感じながら、日本ならではの文化体験を新たに入れるという回答が多く、また、訪問先については九州や東北、沖縄などを検討したいという声も聞かれた。
当所は、こうした多様なニーズに応えるべく、エージェント向けのウェビナーを、テーマ・地域に分け、20年5月から全17回配信し、各回200再生を超える視聴をいただいた。特にスキーやハイキング、サイクリング等、今後のツアー造成を検討しているようなコンテンツについては再生回数が多く、「このような情報が欲しかった。アクセスや宿泊施設も紹介されていて、参考になった」と高評価を得たところである。
日本は他国と比較しても早い段階での渡航再開が期待されている国の一つであり、今後も継続した情報発信による興味関心の維持および新たなマーケットに向けた認知度向上が今後の取り組みとして必要となっている。
※豪州の海外渡航などに関する情報は21年3月末時点。