【日本政府観光局インバウンド最新リポート 71】志向変化で自然の情報拡充 JNTOフランフルト事務所 古田真敏 次長


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ドイツ市場への魅力発信

 ドイツでは昨年11月、飲食店の閉鎖という形でロックダウンが始まり、12月16日からは食料品店と薬局以外の全ての商業施設が閉鎖となり、より厳しいロックダウンが現在まで続いている。1月19日からは公共交通機関などで布マスクの着用が禁止となり、医療用マスクの着用が義務付けられ、違反者には罰則も課されることとなった。このような厳しい措置の効果もあり、一時期4万人を超えていた1日の新規感染者数は徐々に下降線をたどり、第2波のピークは脱したとみられる。

 ドイツ人の冬の楽しみといえば、クリスマスマーケットとサッカー観戦である。どんよりとした天気が続き、暗くて寒いドイツの冬において、お酒を飲みながらみんなで語れるクリスマスマーケットやサッカー観戦は憩いの場となっている。しかし、この冬はほとんどの地域でクリスマスマーケットは中止、サッカーは無観客試合が続いている。仕事においても企業は可能な限り在宅勤務が推奨され、もう何カ月もステイホームが続いている。

 そんな自宅で多くの時間を過ごすドイツ人に、少しでも訪日旅行への興味、関心を持ってもらうため、当所ではオンラインを中心に日本の魅力を発信している。昨夏の欧州域内での移動制限が緩和された際には、キャンピングカーの需要が高まるなど、密を避けたアウトドア・自然体験が好まれたことを踏まえ、食および自然等をテーマとした情報を拡充し、コロナ禍における志向の変化に沿った対応をしている。

 また、入国制限により訪日旅行はできないため、代わりに訪日経験のあるドイツ人インフルエンサーとのコラボレーションにより、過去の訪日旅行の体験談などドイツ人目線の情報をSNSで発信している。

 他にもポッドキャストによる配信にも注目し、旅行業界向けに日本の現状や訪日旅行についての配信を行うとともに、一般向けにはドイツ人漫画家による日本文化の紹介を行うなど、将来的な訪日のきっかけとなるような発信を日々行っている。

 ドイツでは、9月下旬までに国民全員へのワクチン接種が可能との報道があった。予定通りワクチン接種が進み、渡航制限も解除されれば、旅行が大きな楽しみであるドイツ人の旅行熱も一気に高まるものと思われる。旅行会社も予約変更やキャンセルに無料で対応するオプションを設定するなど、夏のバカンスに向けた需要を取り込もうとしている。

 ドイツ人にとって日本は、欧米諸国に比べてコロナ感染者数が低く、日本人は衛生的にも清潔な国民だと思われており、このコロナ禍でも常に安全な国と認識されてきた。このことは今後の訪日プロモーションを行う上で、アドバンテージとなっていくだろう。

 当所では今後もコロナ禍の状況を見極めながら、ドイツ人が将来の訪日旅行に思いをはせられるような情報発信を続けていきたい。

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