【日本政府観光局インバウンド最新リポート 68】カナダの市場意向 JNTOトロント事務所 山田麻須美 臨時所長代理


訪日再開後は地方に好機

 カナダの新型コロナウイルス感染者数は、9月以降感染が再拡大し、11月5日に累計で25万人を超え、現在感染第2波に見舞われている。人口の約6割を占めるオンタリオ州とケベック州で感染者の8割近くが確認されているが、人口がさほど多くない地域でも感染者数が増加している状況だ。各州の経済活動は段階を踏んで再開されていたが、一部地域では警戒レベルを引き上げ、感染対策を実施している。

 カナダ政府は、国民に不要不急の渡航自粛を要請、外国人観光客の入国禁止、米国との国境は11月21日まで閉鎖措置を延長している。また、外国からカナダ入国後、全ての人に14日間の自己隔離が義務付けられている。

 こうした状況を受け、海外旅行再開後、カナダ人の訪日旅行の意向にはどのような変化が見られるだろうか。当所では、8月に訪日旅行商品を造成、販売する旅行会社を対象にアンケートを実施し、36社から回答を得たのでここで紹介する。

 まず、今後の顧客の旅行に対する変化について、全体の3分の2以上が「プライベートツアーや少人数のグループが好まれる」「旅行に対する安心・信頼度が低下し、再構築に時間がかかる」と予測する中、「大都市滞在期間を最小限抑える」との回答も3割程度あった。次に、旅行に対する安心・信頼度回復に役立つこととして、「航空券やホテル、ツアー予約のキャンセルや払い戻しを柔軟に行えること」「航空会社、ホテル等の衛生・安全情報の提供」が、「日本の文化が高い衛生・健康水準の維持に役立っている情報の提供」を上回る結果となり、日本においてどのようにコロナ対策を講じているかを適切に情報発信する必要があることが明らかとなった。

 当所への要望としては、30社以上が「日本の衛生安全状況の提供」や「日本の渡航制限に関する最新情報の提供」を挙げており、次いで「航空会社、ランドオペレーター、ホテル等から予約変更やキャンセルに関して、柔軟な対応が得られるための支援」が求められている。加えて、渡航制限が緩和され、訪日旅行が可能になった際には、「訪日カナダ人による動画での情報発信」や「訪日後のカナダ人の体験を通じた安心・安全情報の発信」が挙げられ、やはり実際に訪日旅行を体験したカナダ人から得られる生の情報に需要があることを強く感じた。

 今後の訪日旅行は、大都市ではなく、人が集中しない地域の旅行商品が必要との旅行会社の声を受け、当所では旅行会社向けのウェビナーやニュースレターを通じて地方の魅力の情報配信に力を入れている。訪日旅行再開後は、地方にカナダ人を誘致する絶好の機会である。そのためには、日本側の協力と訪日外客を歓迎する気持ちを欠かさないでいただきたい。

 
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