【日本政府観光局インバウンド最新リポート 67】中国人の海外旅行意向 JNTO広州事務所 中山友景 所長


再開後「半年以内」に、衛生面重視

 9月11~13日、広東省広州市で華南地域最大規模の旅行博「広東国際旅遊産業博覧会(CITIE)」が開催された。今年は特に国内旅行の展示が中心だったが、国際展示エリアも面積こそ例年の約4分の1と縮小したものの、約40の国・地域が出展し、ビジットジャパンブースも3日間で2万8千人の集客を得、改めて海外旅行(香港、マカオなどを含む出境旅行)への期待の高さを感じた。

 中国の一般消費者は海外旅行および訪日旅行について、どのような意向を示しているのか。JNTO中国3事務所では、7月末から8月初めにかけてウィーチャット公式アカウント上でオンライン調査(回答者2740人)を行ったので、結果を簡単に紹介したい。

 まず、「往来再開後いつ海外旅行をしたいか」という質問では、図のような結果となった。半数以上の57%が「半年以内」に行きたいと答えており、往来再開後のポテンシャルは比較的高いと言える。これを沿海部と内陸部で比較すると、「半年以内」と答えたのは海外旅行に比較的行き慣れている沿海部の比率が高く、「1年以内またはそれ以上」では逆に内陸部の比率が高かった。また、訪日経験別で比較してみると、これも訪日経験ありの回答者の方が「半年以内」と答える率が高い。やはり沿海部の上海市をはじめ、旅行に行き慣れたリピーターが多い地域ほど回復は早そうだ。

 次に、「旅行先を決める際に重視することは何か」という質問では、「旅行先の防疫対策」という回答(1270件)が最も多く、次いで「魅力的なコンテンツ」(1164件)となった。この二つはいずれも千件を超し、3位「費用の安さ」(112件)以下と比べて圧倒的に多い。これが意味するところは、まず一つには当然のことながら防疫対策(衛生)の重要性が高まっているということだろう。実際に中国の国内旅行を見ても、衛生面を気にする消費者が増え、「高級民宿(スモールラグジュアリー系の滞在型ホテル)」をはじめ、より信頼感のあるミドル~ハイクラスの宿泊施設が人気となっている。

 もう一つは、実際に何が体験できるのかということに今後さらに重点が置かれることになるということである。ウィズコロナでは旅行のリスクは高まるが、それでも行きたいと思わせるようなより強い動機付けが必要になってくる。それには、漠然としたイメージだけではなく、何が体験できるのかをより具体的に伝え、想起してもらう必要がある。伝わりやすい映像などのデジタルコンテンツをこの機会に充実させ、より積極的に発信していくのも一案だ。

 最後に、アンケートで終息後に行きたい国・地域(三つまで選択)を尋ねたところ、日本(2684件)が2位(タイ、533件)以下を引き離して圧倒的に人気だった。JNTOの公式アカウント上でのアンケートのため、当然と言えば当然だが、他社の研究報告を見ても、訪日旅行の人気は衰えていない。観光往来の再開までは残念ながらまだ時間がかかる見込みだが、こうした変化を捉え、まずはできるところからプロモーションを行っていきたい。

 
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