【日本政府観光局インバウンド最新リポート 58】スペインの訪日市場 JNTOマドリード事務所 大塚久司 所長

  • 2020年2月2日

季節・地域分散、年齢層を多様化

 スペインでは、これまでの好調な経済を背景にした旺盛な海外旅行需要と、日本食やマンガ・アニメ、映画・文学をはじめとした日本への関心の高まりにより、欧州各市場の中でも訪日旅行者の伸びが大きく、2019年は5年前と比べて2.15倍の約13万人となった。

 JNTOがマドリードに事務所を開設してから3年弱であるが、スペインでも旅先の決定にクチコミを重視する傾向があることから、これまでハネムーナーを含む20~40歳代の個人旅行者をターゲットとして、SNSを活用したプロモーションに注力してきた。ハネムーナーについては、スペインでのハネムーン旅行先として日本が1位となるなど、比較的若い層を中心として一定の効果が表れている。

 また、18年の各種統計を見てみると、観光目的の訪日旅行者の8割以上が初訪日、2週間以上の長期滞在が4割以上、日本食や自然、歴史、温泉・旅館など日本ならではの体験が人気で、1人1回当たりの旅行消費単価では、平均15.3万円に対し23.7万円とオーストラリアに次いで2位、飲食費に限ってはビジット・ジャパン重点20市場の中で最大と、高単価で非常に魅力的な特性がうかがえる。

 一方で、スペイン市場の特性として、(1)春の聖週間(イースター)と、訪日旅行者の3割が集中する7~8月がハイシーズン、(2)訪問先や宿泊地は多様化しつつもゴールデンルートが中心、(3)訪日旅行者の3割が30代、といった「偏り」が見られ、(4)訪日旅行が大変高額で「一生に一度」という声も多く聞かれる、など初訪日に踏み切れていない人も多い。

 こうしたことから、当所では、今後、(1)~(4)に対応し、(1)日本の紅葉の美しさやスキーなどのアウトドアを積極的に打ち出して「季節分散」を図る、(2)ゴールデンルート上の各都市を起点とし、具体的なアクセス手段も考慮しながら、地域の食や自然、歴史などストーリーのある観光ルートを意識し、「地域分散」を図る、(3)旅行会社とも連携して中高年層に魅力的に映る旅行商品や情報を届けて「年齢層多様化」を図る、(4)「訪日旅行は思っているほど高くはない」といったイメージを分かりやすく広めるプロモーションを展開していく。

 20年は3月末にマドリード―成田便の機材大型化や、6月からのデイリー化のほか、乗り継ぎの利便性向上に役立つ増便も予定され、スペイン市場を狙う地域・企業にとって追い風が吹く。こうした風を受けて当所ではスペイン市場をターゲットとする地域・企業の皆さまと連携し訪日旅行者を増加させていきたい。

 最後に、スペイン語話者はスペインのみならず、観光市場において今後急成長を遂げることが予想される中南米を中心に5億人以上おり、こうした潜在需要を先取りしていく気持ちで、スペイン語でのパンフレットやウェブサイトの制作、ガイドの育成など受け入れ態勢の整備に取り組んでいただくことも皆さまに強くお願いしたい。

 

 
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