【日本ふるさと紀行 24】草加(埼玉県)~草加せんべいのふるさと 中尾隆之

  • 2018年5月18日

醤油の香り漂う日光街道の宿場町

 饅頭とともに煎餅は庶民的で親しみやすい和菓子の一つ。関西では小麦粉と卵を主原料にしたサクッとして甘い四角い瓦煎餅が主流だが、関東では米粉に塩や醤油で味付けしたバリっと堅い丸い煎餅である。

 後者の代表が、醤油が香ばしい草加煎餅。そのふるさと草加市は本陣や旅籠、茶屋が並ぶ日光街道の宿場町。最盛期200店を数える煎餅の町でも知られる。

 東武線草加駅前には煎餅を焼く「おせんさん」と煎餅を噛む「アコちゃん」の像がある。駅内や駅前ビルにも煎餅店があり、宿場の面影の旧日光街道を5分も歩くと、元祖という豊納源兵衛や米重、志免屋など10店ほど集まる一角があり、煎餅発祥の地碑が立つ。味付けする醤油の香りで「全国かおり風景100選」にも選定されている。

 草加煎餅の始まりは江戸時代。日光街道沿いの茶店で「おせん」という女性が商う団子が大評判だったが、ある日売れ残りが出て通り掛かった侍に嘆くと「団子を平たく延ばして焼いてみたら」といわれて始めたところ大いに売れた。

 草加は米の産地で、これで作る煎餅は堅くて腹持ちよく保存がきくことから評判を呼んだ。当初は塩だけだが、近くの野田に醤油工場ができて醤油に転換。なのに塩煎餅と呼ばれ続けた。現在はゴマ、青のり、ザラメ、ニンニク、味噌など多種多様だ。原材料はうるち米。これを押し焼きの堅焼き製法の伝統を守り、現在60軒で年間売り上げ約45億円という。要予約だが、手焼き体験の店も数軒ある。

 ここ日光街道(奥州街道)は参勤交代の諸大名が往来。『おくのほそ道』の松尾芭蕉と門弟・河合曾良が歩いた。綾瀬川岸の札場河岸公園にある芭蕉翁像や600本の草加松原、芭蕉文学碑などが、おくのほそ道風景地「草加松原」として4年前に国指定の名勝になった。宿場の名残、文学の面影が醤油煎餅の香ばしさにしみじみと引き立つ町である。

(旅行作家)
●草加市観光協会TEL048(922)0151

 
 
 
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