今こそやっておくべきことの一つとしておすすめしたいHPの見直しについて、今回はコンテンツ表現のことをお伝えしようと思う。
(4)トップページに掲げている画像や動画は、ユーザーの心を捉えるものか?
普通、人は旅館というものに一定のイメージを持っている。老舗旅館だったらこんな感じ、近代的な旅館だったらこんな感じ…。 HPの第一印象として自館が打ち出すイメージをどんなビジュアルで表現するか、大きく二つの方向がある。
一つは、お客さまが描いているイメージ通りの旅館として、それに寄り添った画像なり動画を見せていく方向。やり方としてはまず無難であり、失敗は少ないだろう。ただしこれは他のあまたの旅館と同列に比較される可能性も高い。
もう一つは、お客さまの思い描くイメージをある意味で「裏切る」見せ方をする方向。旅館それぞれが持つ「独自価値」に当たるものをビジュアル化し、尖ったアピールをしていくやり方だ。
どちらが良いとは一概に言えないが、自館の個性をより際立たせ、同列競争のるつぼから脱したいと考えるなら、思い切って後者への踏み出しを考えよう。
(5)施設や料理の写真は良さを伝えているか?
例えば客室を、ただ「こういうお部屋でございます」と、カタログのように見せるだけが能ではない。写真も、この際もっと「ユーザーの心に刺さる」ものを撮っていってはどうだろうか。部屋に踏み入った瞬間の驚きを疑似体験させるもの、上品なしつらえをさりげなく伝えるもの、窓から見える夜景の魅力をお客さま目線で捉えたものなど、特徴となる良さを添えることを考えてみよう。料理についても同じことが言える。
(6)商品紹介やプラン説明の言葉は「泊まってみたい」と思わせ、予約ページへのボタンを押させるような説得力を持っているか?
「伝えるべきこと」を、「伝わるように」伝えていくことが基本である。のっぺりとした美辞麗句だけでは、ユーザーの心を捉えることは難しい。例えば、次のような表現はどうだろうか。
・豊かな自然が心とからだをよみがえらせてくれます
・四季折々の旬の素材を活かしたお料理をお楽しみいただきます
・自慢のアルカリ源泉で疲れをほぐしてください
・海の見えるお部屋でゆったりおくつろぎいただけます
それなりに自館の良さを表している言葉ではある。だが、これで「この旅館に泊まってみたい」と思う人があれば会ってみたい。使い古された言葉を並べるよりも、「伝わる言葉」を探そう。
同じことでも、例えばこんな表現が考えられる。
・この静かさには『音』がある
・もしかすると、お気に召さない方もいらっしゃるかもしれないお料理です
・大地をくぐり抜けたアルカリのお湯が今、とろけるように肌をすべり下りる
・海を前に、日ごろ無口な夫がポツリポツリと昔のことを話し始めた…
アピール表現にこだわることは、商品そのものに「こだわりの磨き」を加えることにもつながる。HPの見直しをきっかけに、商品価値を高めることを考えてみてはいかがだろうか。
(リョケン代表取締役社長)