【旅館経営ワンポイント講座 17】年初にあたり、思いつくまま 渡辺清一朗


 新しい年が始まった。そろそろまっとうに収まってほしいウイルス騒動という人災。少子高齢化に伴う消費の減少や人手不足。原材料やエネルギーコストの高止まり。景気衰退に追い打ちをかけるとしか思えない増税。などなど、しっかりしていないとつい下を向いてしまいそうになってしまう話題には事欠かない。

 そんな状況にあっても人は生きてゆかねばならないし、経営者としては会社を投げ出すわけにもゆかない。そんなときこそ地に足を付け事業を客観的に見直し、実現可能な計画を立てて日々現実と向き合いたいものだ。

 年初に当たって思いつくままに「これができたらいいのになあ」と日ごろ常に感じていることを挙げてみたい。

 (1)自身の事業のターゲット(お客さま)を明確にイメージする。旅館ホテルであれば最低でも損益分岐点を確保するために実現可能な顧客数と単価を設定する。団体も個人も家族連れもカップルも全てがターゲットなどということはあり得ないはずだ。

 (2)期待する顧客イメージに合った、できる限り高付加価値・高単価のサービスの提供を実現する。

 (3)その結果として、捨てる顧客と捨てるサービスを明確にし決意をもって断行する。

 (4)ある程度の規模になるといまだに不要な中間管理職が存在していることがよくある。できる限り文鎮型の組織を目指す必要がある。デジタル技術を効率的に活用すれば無駄な管理職はいらなくなり、労働生産性も高まる。その分で実働部隊の賃金をアップすることもできる。

 (5)もう一度本気で外国人の雇用を考える。日本人・外国人の区別なく個人の力量によって給与を決定する。外国人を大切にすることは彼らの母国コミュニティとの円滑な関係を築くことにもつながり、継続的に優良な労働力を確保することにもつながる。地方中小旅館でも既に実現している例もある。

 (6)こうなってくるとこれまでの年功序列的な賃金制度は意味をなさなくなる。

 (7)身内でも不要な人には去ってもらうという冷淡な決断が必要となる。

 (8)借入金がある場合もう一度金融機関の構成を考えてみる。経営がきつくなればなるほど難しくなるので容易ではないが。一言でいえば「バカな金融機関との縁を切って賢い金融機関との縁を新たに結ぶ」ということだ。

 列挙したことの実現は容易ではないが、実際にこれらのいくつかを実行に移し収益力を上げている事業者がいくつも存在するのも事実だ。

 アナログでもデジタルでも、人的にでも機械的にでも変化することなく生き残ってゆくことができる世の中では既にない。変化を熱烈に欲し、24時間365日その努力を惜しまない者には必ず未来への道筋が見えてくると信じる。

 拙文ではありますが少しでも1人でもお役に立てることを願っています。本年もどうぞお付き合いください。

(EHS研究所会長)

 
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