【旅館ホテルのおもてなし 40】車椅子のお客さま2 大谷 晃


 ●車椅子でのサポート

 では、いろいろな場面における、仲居がお手伝いする際の車椅子の操作について見ていきます。

 ■段差がある場合

 段差を上るときは、必ずお声がけをしてから車輪を上げるために付けられた足元のステッピングバーを踏みます。次に車椅子を後ろに傾け、キャスター(前輪)を浮かせて前に進みます。反対に降りるときは、車椅子を後ろ向きにして、後輪から静かに降ろします。

 ■階段がある場合

 このときは人手が必要です。4人で行います。ブレーキをかけておいてから、2人が左右のハンドグリップと車輪、あとの2人が左右のアームレストとレッグレストのパイプをしっかり持ち、運び上げます。上るときは車椅子を前向きに、降りるときは後ろ向きに。傾くと危険ですから、常に平衡状態を保つようにします。

 ■エレベーターに乗るとき、降りるとき

 段差に注意し、車椅子を後ろ向きにして乗り込みます。すぐに反転させて降りるときに備えます。降りるときも後ろ向きで。エレベーターが狭くて向きを変えるのが難しいときは、前向きで乗り入れてから、後ろ向きで降ります。

 ●お出迎え

 「お手伝いできることはありませんか」と、行動に移る前に必ずお声がけすることは、これまでに述べた通りです。先走って介助をすることは、車椅子のお客さまのプライドを傷つけることもあるので、くれぐれも注意が必要です。

 自館で車椅子を用意しているところでは、滞在中、そちらを利用していただきます。ただし、お客さまがホイールカバー(車輪カバー)を持参している場合、介助者かスタッフが装填(そうてん)した上、ご自分の車椅子を使っていただく場合もあります。

   *    *

 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。

 
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