【旅館ホテルのおもてなし 36】高齢のお客さま1 大谷 晃


 高齢者が日常生活でどのようなことを困難だと感じているか、知っておくことがまず大切です。もちろん個人差がありますから、すべての方に当てはまるわけではありませんが、一般的には、次のようなことが考えられます。

 高齢者になると足元が弱く、ころぶ、つまづく、よろけやすくなります。反応も遅くなり、とっさの行動がとりにくくなります。さらに、小さな文字が読みにくくなったり、話し声や音が聞き取りにくくなったり、物忘れもしやすくなります。

 これらのことを踏まえた上で、高齢のお客さまに接する場合、基本的な姿勢として以下のことをしっかり心に留めておきましょう。まず、人生の先輩として、礼儀を持って接することです。必ず「お客さま」「〇〇様」とお呼びし、決して「おじいちゃん」「おばあちゃん」などと言ってはいけません。

 度の過ぎたお年寄り扱いをすることも控えます。仲居は最大限のおもてなしだと思っても、お客さまにとっては、「自分はまだそんな年寄りではない」と、良い気分がしないものです。最初から手を貸すのも同様です。必要な時に駆け寄り、さりげなくサポートします。また、業界用語、略語、外国語などは避けます。日常的に使っていると、つい口にしてしまいがちですが、慎まなくてはいけません。

 お部屋にご案内するときは、歩く速度をお客さまに合わせることが大切です。また、物忘れをしがちですから、特に出発時は「お忘れ物はございませんか」と、確認を促すようにします。チェックアウト時には、会計に余裕を持っていただくために、混まない時間帯にフロントにお越しいただくようにご案内します。

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 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。

 
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