【旅館ホテルのおもてなし 32】お体の不自由なお客さまへ4 大谷 晃


●お部屋までのご案内

 目の不自由なお客さまにとって白杖(はくじょう)は「目」の代わりとなる大切な物です。たやすく触れるのは厳禁です。仲居が付き添う時は、必ず白杖を持っていない側に立ちます。そのあと自分の肘の上を持っていただくか、肩に手を乗せていただきます。その際、仲居は腕をリラックスさせて下ろしておきます。けっして自分のほうからお客さまの肩をつかんだり、手を引いてはいけません。仲居がついやってしまいがちな行為です。

 また、お客さまのスピードに合わせることは言うまでもなく、お客さまの前をふさがないように、斜め1歩または半歩前を歩くようにします。途中で止まるときは、壁など体が触れておける場所を選びます。そのときも突然、手を外すとお客さまは不安になられますから、必ずお声をかけてから行動に移ります。

 通路の説明では、「前」「後ろ」「右」「左」「3メートル先です」というように、具体的に言葉にします。

 段差のある前では必ず一度止まり、「5センチの上りの段差があります」などと告げた上で進みます。階段では、仲居が1段先を行き、「あと4段です」などと具体的に説明します。踊り場や最終段に着いたときも同様です。

 誘導する際、つい「あちらです」「こちらです」「もうすぐです」などと言ってしまいがちですが、必ず、「5メートル先に階段がございます」「このまま直進します」「3メートル先を左に曲がります」などと、具体的に説明することも重要です。ただし直前に告げるのではなく、距離には余裕を持つようにします。

 ●浴場でのサポート

 同行者がいない場合には、原則として同性の仲居が付き添うようにします。

 お客さまの中には、「1人で大丈夫」と言われる方もいます。この場合は、設備についてご説明します。

 脱衣場では、脱衣かごやロッカーの場所と、その使い方。浴室では湯船の大きさと形、段差があるかないか、あればその場所。他にも、洗い場の桶や椅子の位置、お湯の出る場所、シャワー、コンディショナーやボディソープの位置などを説明します。

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 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。
       

 
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