【旅館はもっと良くなるべきだ 旅館経営 タテ・ヨコ・ナナメ 134】新型コロナウイルスへの経営対応21 補助金の活用2 リョケン代表取締役社長 佐野洋一


 前回の小欄で、旅館で活用可能な代表的な補助金制度を三つご紹介したが、このうち(1)「ものづくり・商業・サービス補助金(ものづくり補助金)」と、(2)「IT導入補助金」について補足しておきたい。どちらも令和2年度第3次補正予算で、新たに「低感染リスク型ビジネス枠」というものが創設された(以下、ここでは「新枠」と呼ぶ)。具体的には次の内容である。

 (1)ものづくり補助金

 「通常枠」の補助率は1/2(小規模事業者は2/3)であるが、「新枠」では小規模以外も含め、一律2/3まで補助される。趣旨は「対人接触機会の減少に資する、製品開発、サービス開発、生産プロセスの改善に必要な設備投資、システム機器等を支援」とある。

 (2)IT導入補助金

 「通常枠」補助率は1/2であるが、これも「新枠」については2/3となる。趣旨は「複数の業務工程を広範囲に非対面化する業務形態の転換が可能なITツールの導入を支援」とされている。補助上限額は(1)が1千万円、(2)が450万円で「通常枠」と同じ。IT導入補助金には、新たに「テレワーク対応類型」(趣旨:テレワーク用のクラウド対応したITツールを導入する取組)というものが創設され、これの上限は150万円となっている。

 以上とは別に、小規模事業者等を対象とする「持続化補助金」というものがある。「通常枠」は補助率2/3、上限50万円だが、これにも「新枠」が設けられ、補助率3/4、上限100万円が適用される。趣旨は「ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等の取組を支援」とうたわれている。なおこの補助金では、補助対象事業費のうち1/4を上限として、感染防止対策費も支援される。

 (1)・(2)については、よろしければ前回小欄<133>を併せお読みいただきたい。なお持続化補助金を含め、いずれも事業終了後の一定期間内に、付加価値額や労働生産性などについて一定率以上の向上が求められるなど、少々面倒な要件や縛りがある。ここでは詳しい記述を省くが、応募する場合は最寄りの商工会、商工会議所などにご相談することをお勧めする。また弊社でも対応させていただくので、気軽にお問い合わせいただきたい。

 中小企業に対する支援施策の全体像を手っ取り早くつかむには、「中小企業施策利用ガイドブック」という無料の冊子が便利だ。「経営力」「金融」「財務」「商業・地域」「分野別」の各サポート、「相談・情報提供」といった内容で構成されている。毎年5月ごろに発行され、現在は2020年度版が最新である。中小企業庁のHPから郵送請求することもできるが、商工会や商工会議所、全国中小企業団体中央会、日本政策金融公庫や商工中金の各支店にも置かれてあり、手軽に入手できる。

 さらに、各地方自治体にもさまざまな支援策があり、国の施策よりも利用しやすいものが多い。これらを知るには、「J―Net21」というサイトを開いてみるとよい。都道府県別↓市町村別の制度検索が可能だ。特に今は新型コロナウイルスに対応したさまざまな施策が用意されている。

 支援制度を活用するには、「趣旨」をしっかり踏まえ、それに沿った取り組みとすることが重要なポイントだ。

(リョケン代表取締役社長)

 
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