【教育旅行特集インタビュー】日本修学旅行協会 理事長 竹内秀一氏に聞く

  • 2022年4月6日

現地の人と「話す」ことが大事

班別行動など活発化

 学習指導要領の改訂により、小中高の教育では「探究」がより重視されている。高等学校では、「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」に変更された。こうした流れから特別活動の「修学旅行」でも、今後、探究学習を取り入れた活動が活発化すると見込まれる。高等学校の修学旅行はどう変わるのか。また、探究学習を取り入れた修学旅行プログラムとはどういった形なのか。日本修学旅行協会に聞いた。

 ――探究学習が重視され、高等学校の修学旅行はどう変わる。

 日本修学旅行協会理事長・竹内秀一氏 探究学習は、「課題を設定する」「情報を収集する」「情報を整理、分析する」「まとめ、表現をする」の四つの大きな段階から成り立っている。修学旅行は事前と現地と事後の学習をトータルにとらえなければならない。現地では特に情報収集の活動が非常に重要になる。整理・分析、まとめ・表現は学校に戻ってからの事後学習となるが、今までは感想文を書いて終わるという感じだった。学習指導要領の解説には課題解決的な学習を発展的に繰り返すことが探究学習の狙いだと書かれている。探究学習では事後の学習活動がとても重要だ。

 ――探究学習は修学旅行でどう展開されていくのか。

 竹内氏 修学旅行では、「見る」「体験する」「話す」がすごく大事な要素だ。見るというのは見学で、これはずっと行われてきた。体験は、特別活動や総合的な探究の時間でも非常に重視されている。今後は探究学習の中で話すということが非常に大事になってくる。これは今まで「交流」と言ってきたが、現地の人々と会話をする、課題を解決するためにインタビューや調査活動をする、そういったいろいろな形が考えられる。これは対話的な学びにもつながってくる。

 話すことを中心にすると40人とか学年全体とかでの活動は無理なので、班別活動やグループ行動といった少人数での活動が現地で活発に行われるようになる。

 ――修学旅行で実施される主な学習プログラムでの探究学習の取り入れ方を教えてほしい。

 竹内氏 学習指導要領の総合的な探究の時間の解説に具体的な探究活動の例として三つ挙がっている。一つは、歴史や国際理解を題材とした探究活動。二つ目は環境や自然を題材とした探究活動。三つ目が社会との関わりを考える探究活動だ。

 それを修学旅行と結び付けると例えば長崎で歴史学習を行う場合、およそ200年間あった鎖国時代にオランダや中国との貿易の窓口になったことで長崎の町や人々の暮らしがどう変わったか、それが現在とどうつながっているのか、というような課題が出てくる。長崎には歴史文化博物館や出島、シーボルト記念館、グラバー園などがある。ペーロンなどの体験活動を通して現在とのつながりを考えることもできる。また、博物館の学芸員や芸能を伝えている方々などと実際に話をしながら、生徒が自分の持っている課題を解決する情報収集活動も行える。

 ――環境や自然を題材とした探究学習は。

 竹内氏 例えば、沖縄ではSDGsプログラムが活発に作られている。沖縄には美しい海が地球の温暖化によってどんな影響を受けているのか、それが人々の暮らしにどんな形で関わってきているのかといった大きな課題がある。恩納村では海洋環境の変化に着目した探究型のプログラムが作られている。あるいはサンゴの養殖場や漁港に行って実際に漁民の方に話を聞くこともできる。

 ――社会との関わりを考える探究活動は。

 竹内氏 ものづくり体験がそれに位置付けられる。例えば富山の高岡は、鋳物が盛んな地域で、鋳物製作体験ができる。普段、私たちが使っている物が何を材料としてどういうプロセスを経て、どういう人たちによって作られているのか、それが分からないと例えばそれを持続的に伝えていくための課題が分からない。鋳物で言えば、鋳型を砂で作る、溶けたスズを流し込む、バリを磨くといった非常に大変なプロセスがある。学校ではできないような直接的な体験、本物の体験、あるいは本物に近い体験を通して頭の中だけではなくて五感で感じるということがすごく大事だ。

 ――修学旅行の探究学習に関して、学校に言いたいことはあるか。

 竹内氏 長崎に行くとか沖縄に行くとか大きな計画は学校が決めるのだが、ではその中でどんな活動をするのかとか、どこに行って何を見るのかというのは生徒の探究課題をしっかりと把握した上で考えてほしい。「修学旅行は思い出づくり」とよく言うが、それは結果だ。本来は学ぶために行く。修学旅行の位置づけや狙い、また、総合的な探究の時間との関わりをしっかり明確にして行ってくれれば、より深い学びができる。

 ――では、受け入れ地や受け入れ施設に対する要望は。

 竹内氏 話すということが非常に重要になってくるので、インタビューや調査、ディスカッションなど旅行先の人たちと交流をする機会をプログラムの中にぜひ設けてほしい。体験活動については、今までは陶器の絵付け体験などお土産づくりの体験だったが、そうではなく、しっかりと時間をかけてやる本物に近い体験活動をきちっとプログラム化してほしい。

 それから、事前学習や事後学習に対して、さまざまな資料を提供する、オンラインでもいいので生徒と現地の人が交流をするといった形でのサポートもしてもらいたい。

     
 
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