【岐路 バスと観光 新たな関係 75】高速バスと観光13 成定竜一


 最終的に商品ラインアップに加えないといけないのが、都市から観光地への2地点間輸送でありながらも、行程の途中で観光地に立ち寄り、下車観光の時間を確保するような「(移動としての)高速バス」と「(旅行としての)バスツアー」のちょうど中間に当たる商品である。

 重要なポイントは、往復の行程も宿泊も同一行動し、出発地点に皆で戻ってくる従来の(発地型の)バスツアーと異なり、片道のみの乗車を認める点である。

 これによって、例えば「往路は通常の高速バスで直行し、早めに宿に入ってくつろぎ、復路は『お任せ』で観光を楽しみながら帰ってくる」というように、旅行者自身のペースで行程を組むことができるようになる。

 毎日運行が原則の高速バスに立ち寄り観光を組み込もうとすると、どうしても総花的に有名観光地を巡ることになり、従来のバスツアーと同じになってしまうリスクがあるので、季節や曜日によって立ち寄り地点を変える、という工夫が必要かもしれない。

 2017年12月、バス事業者系旅行会社である神姫バスツアーズが新商品を発表した。大阪・京都~高山~富士山~東京を結ぶ募集型企画旅行で、貸し切りバスが同区間を毎日1往復する。郡上八幡など途中の観光地では下車観光の時間を確保し、高山では宿泊施設に横付けする。現地の路線バスのフリー乗車券などをセット購入することもできる。

 旅行者は、行程上の停車地のどこで途中下車してもよく、興味のある観光地で降り(必要に応じて路線バスなどに乗り換えてもう1歩足を伸ばし)、宿泊、滞在して翌日以降の便に乗り込んで次の地点へ移動することができる。大阪~東京の片道のほか、大阪と東京それぞれから高山を往復し元の地点に戻るコースも販売される。

 この商品は、FITにターゲットを絞った募集型企画旅行ではあるが、「移動」と「観光」を兼ね、自分のペースで旅程を組めるという点が注目される。

 (高速バスマーケティング研究所代表)

 
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