【岐路 バスと観光新たな関係 116】どう解決 乗務員不足13 高速バスマーケティング研究所代表 成定竜一


 2014年にサービスを開始したバス乗務員専門の求人情報サイト「バスドライバーnavi(どらなび)」の短期的なミッションは、求職者と求人企業の正しいマッチングを行い、生産性や定着率を上げることである。

 全国に約5千のバス事業者が存在するが、その多くは貸し切りバス専業の事業者である。しかし、一般の人が日常的に接するバスサービスは、路線バスである(前者はBtoB事業、後者はBtoC事業だと言い換えることもできる)。特に、公営交通(都バスなど)や大手私鉄系の場合、事業者名の認知度は極めて高い。

 そのため、バス乗務員を目指す人の多くが、路線バスの乗務員を念頭に置いている。結果として、貸し切り専業の事業者は求人に苦戦することになる。

 その一方で、近年、特に大手私鉄系事業者の乗務員は、事故防止はもちろんのこと、言葉遣いや身だしなみなど接客業としての側面についても高いレベルを求められる。乗務員を目指す全ての者がそのハードルをクリアできるとは思えない。現に、大手私鉄系事業者の場合、全応募者のうち内定を出す者の比率は1割強だといわれる。

 経営の安定性や給与などの待遇面では私鉄系をはじめとする路線バス事業者には劣るが、中小規模の貸し切りバス事業者の中には、自身が乗務員経験を持つような経営者が家族的な社風の中で未経験者を1人前の乗務員に育て上げることを得意とする事例もある。

 本来、目当ての事業者から内定を得られない場合、別の選択肢があるはずだが、これまではどのような選択肢があるのかを知ることさえ難しかった。あるいは、路線バスの乗務員の場合、食事休憩などで営業所(車庫)に戻って過ごす時間が長いため職場内の人間関係が密であるのに対し、高速バス専業、貸し切りバス専業の事業者の場合は多くの同僚と一堂に会す機会が少ない。このような職場環境や働き方の差についても好き嫌いがあるはずだが、これまでは求職者が手にする情報が少なかった。

(高速バスマーケティング研究所代表)

 
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