【岐路 バスと観光・新たな関係40】高速ツアーバス誕生から終焉まで10 成定竜一


 事業者団体としての規模や実力はママゴトのようではあったが、高速ツアーバス連絡協議会(以下、協議会)は正式に発足し、それ以降、例えば国土交通省から発出される通達類の宛て先に、日本バス協会会長と並んで協議会会長の名も添えられるようになった。

 高速ツアーバスを「脱法的」と非難していた(それどころか、会話の中では「闇バス」「海賊バス」などとも呼ばれた)「既存」各社の反応の中には、より反発を深めた会社もあった一方、楽天トラベルとして、思惑通り、得たものも少なくなかった。

 また、協議会設立と前後して、今度は総務省行政評価局が国土交通省の貸し切りバス安全確保対策について行政評価を行うこととなった。

 同局は、各省庁の政策が有効に実施されているかのレビューを実施する機関で、貸し切りバスの件がその対象に選ばれたのだ。

 極めて厳正な調査が進められ、2010年9月に報告書がまとめられた。高速ツアーバスに関わる部分では、課題の指摘もあったものの、結論は「国土交通省は(中略)観光庁と協力して、ツアーバス関係者による自主的な改善を促すこと」とされた。協議会の存在意義をお認めいただいたと感じた。

 一方、(高速ツアーバスに限らず)貸し切りバス全体の安全対策については、厳しめの指摘がなされていた。本来、00年の規制緩和は「需給調整規制を撤廃し新規参入を認めたうえで、事後チェックにより悪質な事業者を排除する」というものであったはずだが、肝心の事後チェックが十分に機能していないのではないか、という指摘であった。

 これを受け、国土交通省では、学識経験者、有識者と業界関係者らからなる「バス事業のあり方検討会」の設置を決めた。10年12月、高速ツアーバス連絡協議会からも、村瀬茂高会長と並んで、事務局長として筆者も委員に任命された。

 議論のテーマは、貸し切りバス(安全確保策の徹底など)および高速バス(公平で健全な競争環境)。もっとも、現実には、後者が議論の中心となることは最初から見えていた。

 (高速バスマーケティング研究所代表)

 
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