【山崎まゆみの「ちょっと よろしいですか」18】南九州観光誘客促進連合会から学ぶ、地域連携 温泉エッセイスト 山崎まゆみ


 今でこそ「地域連携」という言葉を、当たり前のように耳にするようになりました。それでも、県や市、町の境界を越えて、共に地域作りをしていくのは、行政の管轄を越えることなので、並大抵のことではありません。それが、20年近く前から行われてきたとは。

 先月、宮崎のANAホリデイ・インリゾートで開催された南九州観光誘客促進連合会(GSE―net)第19回総会にお招きいただきました。

 総会参加者は、宮崎、熊本、鹿児島から約70名近く。観光協会などの観光行政、旅行会社や宿泊施設だけでなく、宮崎は宮崎交通さん、宮交ホールディングス、ANA宮崎支社、ANAセールスさんといった交通部門からも。さらにはお土産には薩摩酒造株式会社からの提供で「薩摩」「白薩摩」などが用意され、福山黒酢、浜田茶業といった会社も参加。

 まさに、19年もの間、連携をテーマにこの活動は輪を広げてきたのです。

 その立役者となったのは、南薩観光の菊永正三社長です。南薩観光は知覧に本拠地を置き、バス会社を母体とする旅行会社。訪日外国人観光客誘致にも長く熱心に取り組んでこられました。

 スタートは、4~5人で酒を酌み交わしながら始めた話だったのが、南九州をまとめあげるに至るまでには、どれほどのご苦労があったかと想像します。

 総会では“世界があこがれる九州をつくる”をテーマに、「九州パンケーキ」を創設し、多数のメディアにご出演されている一平ホールディングスの村岡浩司さんが講演されました。

 村岡さんのお話は、行政でくくられた仕切りをなくすこと、オール九州で世界に発信するということでした。

 菊永社長は、とある会合で村岡さんの話を聞いて、その場で講演依頼をされたそうです。九州を一つに、境界線をとっぱらうという村岡さんの主張は、菊永社長の最も言いたかったことであり、理念なのでしょう。

 南九州観光誘客促進連合会の発足から現在に至るまでには、ひとえに菊永社長の熱血漢の人柄が功を奏しました。こんなふうにお話されています。

 「スタートした時には、出張営業において南九州の観光素材や観光施設を売り込み、便利屋になることで私自身の存在価値を高めました。営業に行くのに、各施設のパンフレットをお預かりして300キロを超えることもありました。みんなで汗をかき、行動することでしかビジネスの機会は作り出せないというのが、私の信念です。おかげさまで今では、賛同してくださる事業者が増え続けています」

 「OTA任せにしている施設も増えています。確かに、人が汗を流す営業は、その時は無駄だったり、不効率さもありますが、その泥臭い営業、すなわち人の顔が見える対応力が今だからこそ大切です。きっとさらなる未来への展望が開けるものと思っております」

 九州新幹線が開通して6年がたちました。新幹線開通の際には、九州は地域連携体制が構築されていたので、新幹線開通の効果を最大限に生かせたそうです。

(温泉エッセイスト)

 
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