【専門紙・誌4社共同企画 地方創生が生み出す未来】神山町(徳島県)観光経済新聞


WEEK神山の「ワークルーム」

ワーケーションに適した宿泊施設

観光経済新聞、塗料報知、農村ニュース、ハウジング・トリビューンの4紙誌は、2022年共同キャンペーン「地域から元気を 地方創生が生み出す未来」を展開しています。今、各地で芽吹いている地域活性化の動きを、観光業、農業、住宅・建設業などの視点でレポートします。

 神山町の「WEEK神山」は、築70年の古民家を改修した母屋と、地元産の木材を使い新築した宿泊棟からなるユニークな宿泊施設だ。観光や町の視察で訪れた人のほか、近年はワーケーションで長期滞在するビジネス客も増えているという。客室の大きな窓から清流、鮎喰川と緑豊かな山の自然を一望。抜群のロケーションと素朴な雰囲気、もてなしが人気を集めている。

 2015年7月にオープン。神山町にサテライトオフィス「えんがわオフィス」を構えるプラットイーズの隅田徹会長が町の人たちに出資を呼び掛け、新会社「神山神領」を設立。町に少なかった宿泊施設の運営を始めた。現在は同町に移住した、後述する「神山塾」出身の神先岳史氏が神山神領の代表取締役として経営を引き継いでいる。社名の神山神領は町の名前と施設付近の地域の名称、館名のWEEK神山は、「神山の良さは1週間ぐらい過ごしていろんな人と出会ったり、行事に参加したりして初めて分かる」と、同町の「まちを将来世代につなぐプロジェクト」策定と推進に関わるプランニング・ディレクターの西村佳哲氏が命名した。

 母屋は平成の初期のころから空き家になっていた築70年の「旧南邸」を改装したもの。WEEKではフロントや宿泊客の共用スペース、会議やイベント会場としてこの施設を使っている。内外装とも民家の時代とほぼ変わらない雰囲気。たんすなど調度品も当時のものが使われている。

 朝、夕は宿泊客の食事どころとなる。料理人としてのキャリアを持つ神先氏が自ら腕を振るっている。野菜を中心に、肉類、乳製品、調味料と、地元産でオーガニックの素材にこだわっている。連泊客も多いことから飽きさせないメニュー、そして「優しい家庭料理」を意識しているという。

 宿泊棟は地元神山産の杉とヒノキをふんだんに使用。「えんがわオフィス」をリノベーションした建築家が出掛けた。全8室、22人収容。「ワークルーム」と呼ばれるワーケーションに適した1人部屋とダブルルーム、ツインルーム、最大6人収容できるグループルームをそれぞれ2室備えている。

 全ての客室から鮎喰川など周囲の自然を一望する。ワークルームには木製の大きな机が備わり、大きな窓越しに自然の景色を眺めながらデスクワークをしたり、読書をしたりと思い思いの時間を過ごせる。

 「客層は観光の若いお客さま、視察で町に来た方、神山に住む方の友人・知人が多い。宣伝に力を入れているわけではないが、最近は口コミで宿への滞在を目的に来られる方もいらっしゃる。ここ1~2年はワーケーションのお客さまが増え、2割ぐらいが連泊のお客さまになっている」(神先氏)。

 施設を運営する神先氏は神山町の人材育成プログラム「神山塾」の出身。塾は厚生労働省の「求職者支援訓練」の認定を受けた事業で、2010年に同町のNPO法人グリーンバレーが創設した。20~40代の人々を対象に、同町に半年間滞在して地方創生の取り組みなどを学んでもらうプログラム。これまでの9期で合計165人が修了しており、神先氏のように神山町に移住、定住し、町の活性化に貢献する人材も多く輩出している。

 

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