【学術×現場 14】稼ぐ付帯施設「シェアキッチン」は滞在客受け入れに必須 福島規子


 ちまたでは、気の合う仲間と一緒に調理し、共に食べながら楽しいひとときを過ごすキッチン付きレンタルスペースが注目を集めている。「ウィズコロナ」では、不特定多数が集まるレストランではなく、自分たちで料理を作り、親しい人たちと家で飲む「宅飲み派」が急増した。それに伴いネット上にあふれる「誰でも簡単に作れるレシピ」は、料理作りのハードルを下げ、料理を作る楽しさを教えてくれた。

 キッチン付きレンタルスペースの仕様・形態はさまざまで、レンタルスペースの利用者と貸主を仲介するプラットフォーム「インスタベース」で「レンタルキッチン」を検索すると全国1800余件のキッチン付きレンタルスペースがヒットする。

 マンションの一室のような個室タイプや本格的な調理機器を備えたキッチンスタジオ、キッズスペースのあるシェアキッチンをはじめ、料理写真や動画が映えるカフェタイプのキッチンや、キッチンカーの仕込みができる瞬間冷凍庫・スチームコンベクションオーブンといった最新機器を備えたところもあり「こんな需要もあったのか」と驚く。いずれは、「旅館・連泊用自炊キッチン」というカテゴリーが登場するかもしれない。

 さて、旅館が滞在客の受け入れに難色を示す理由の一つに、滞在中の食事問題がある。顧客にしてみれば、会席膳のフルコースを残さずに平らげられるのはせいぜい1泊目のみ。2泊目、3泊目となると同じように完食するのは厳しくなってくる。また、料理人にしても2、3泊目は食材や調理法を変えて乗り切ってはみるものの4泊目、5泊目となるとネタが尽きる。その結果、「何を出せばよいか分からない」と泣きが入ることが無きにしもあらず。

 そこで、旅館の新たな付帯施設として期待したいのが「シェアキッチン」である。

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