【地方再生・創生論 318】全国の自治会、町内会がピンチ 松浪健四郎


 三十数年前、東京世田谷区から横浜市郊外へ移住した。早速、町内会の入会案内があり、喜んで入会した。会費の徴収があったが、各種の町内行事等についての広報も親切で文句のつけようもなかった。

 ただ、大した内容でもない回覧板が回ってきて、ハンコを押して隣の家へ渡す。仕事が多忙だったため、町内会行事にほとんど参加できなかった。会費さえ払っておけば問題ないと考えていたが、会則は甘いものではなかった。

 多忙であるに加え、家に戻らない日が増えた。町内会の役員さんたちが訪問され、「役員に就任してほしい」との話。私は困惑するばかり。家にいない日が多いため「無理です。ご迷惑をおかけしてしまいます」と返答した。すると、「脱会していただくしかありません」とクビ宣言。以来、私は退会したまま住んでいる。代議士になり、毎週、選挙区の大阪に戻る仕事があるため、自治会の役員就任を断ったのだが、理由は認められない会則に泣く。

 「火の用心!」の見回りや公園の掃除、広報誌配布や集金。役員や会員の仕事は多岐にわたるが、地域社会に貢献していたのは確かである。高齢化が進み、老人の1人暮らしが増えるばかり、役所の人よりも町内会の役員の目の方が届く。町内会は役所の下請けではないにつけ、必要な組織である。移住した私たちは、町内の人々との親睦を深めたいと考えたが、主張が認められないルールだった。

 どうも役員のなり手不足で、厳しいルールを守る必要があったのかもしれぬ。個々の事情が異なる配慮があってもいいと思うが、昔からの町にあっては、それを許さない印象を受けた。寄付集めにも協力したが、他の地域から移って来た人に対しては異分子に映ったのかもしれない。ルール通りに町内会を運営すれば、退会者が増えるばかりだろう。それでも頓着していない様子で、完全に縁が切れてしまった。レッテルが貼られているのか、入会要請は全くないのが寂しい。

 防災活動や災害時の助け合いを考えると、自治体よりも町内会の方が小回りが利く。地域社会の安全を守るためには、より多くの人たちが町内会に入会するのが理想的である。

 会費の使用目的や予算等は会員にきちんと報告されていて問題はなかった。運営や活動は、役員の高齢化によって困難が伴うことは理解できる。しかし、災害を視野に入れると町内会や自治会の充実が大切である。

 これらの団体は、法律によって運営や活動が定められてはいないが、入っていない住民が入りたいと考えるような組織にすべきである。自治体がこれらの組織に干渉できないが、1人でも多く入会できるようなルール作りを指導すべきである。そして、若干であっても町内会に補助金を出し、災害時の助け合いプログラム作成に協力し、きめ細かい支援体制を住民サービスとして行う必要がある。

 遠くの親戚よりも近所の他人。助け合い組織を考えたとき、自治会、町内会の存在が大きい。近所づきあいを奨励する意味でも、これらの組織を再構築せねばならない。これらの団体が曲がり角にさしかかっているのにもかかわらず、自治体が沈黙を守っているだけでは困る。危機管理上、自治会や町内会が必要だという認識が求められる。

 65歳以上の高齢者は、全体の3割を占める現在、全国の自治会や町内会はピンチを迎えている。集合住宅が増え、その内部の自治会もあり、町内会に入会するのは面倒くさいのかもしれないが、町内、地域の協調を考えれば、活性化のためにも入会者の増加が望ましい。

 町内会主催の盆踊り、運動会等がなくなり、子どもたちの教育面においても弊害が生じる。地域を「ふるさと」と思わない人たちばかりになってしまうと、血の通わない社会を創ることになる。近所づきあいまでもが面倒くさいと思う人たちが多くなり、人間性くささのない社会に私たちが住んでいる。もう一度、田舎暮らしの実感できる町を作れないだろうか。

 
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