【地方再生・創生論 287】児童虐待を自治体の力でゼロに 松浪健四郎

  • 2022年12月11日

松浪氏

 教師を目指す者は、まず「子ども好きでなければならない」と、私は大学で教職課程を専攻する学生たちに説いてきた。そして「教え好き」でなければならない、とも付け加えた。子どもたちは、好奇心が旺盛である。で、子どもたちと接した場合、笑顔で面倒くさがらずに、丁寧に指導しなさいと指導した。全ての子どもを差別することなく、同等に扱うばかりか、同等の愛情を注ぎなさいとも説いた。教師は、ただの労働者ではなく「聖職」だと私は信じている。私自身も、高校で3年、大学で21年間、計24年間も教壇に立った。

 私は動物をテーマにした番組好きで、命をつなぐ動物たちの生きざまをテレビで見る。必死になって子どもたちを育てる姿に感激する。親の子への愛情は、人も動物も同じだと感じ入る。だから、国会で「児童虐待の防止等に関する法律」を作ると耳にした時、私たち人間は動物以下なのかとショックを受けた。私の周辺で子どもを虐待するなんて話を耳にしたことがなかったので、この法律の審議には熱心でなかった。今となれば恥じるばかりだが。

 昭和22年に「児童福祉法」が制定され、その28条に「保護者の児童虐待等の場合の措置」が具体的に書かれている。自治体の設置する福祉事務所や児童相談所の採るべき措置を明確にして、大切な子どもたちを守り抜こうとする法律だ。

 しかし、この「児童福祉法」だけでは不十分な事案が、全国的に発生したため「児童虐待の防止等に関する法律」が必要となったのだ。公明党の池坊保子代議士が熱心に取り組まれていた。日本人の親が平気で子どもたちを虐待するなんて、考えもしなかったのに、残忍な親が多数いるなんてあまりにも悲しすぎる。で、平成12年5月に施行された。

 1990年(平成2年)から全国の児童相談所(児相)が、児童虐待の対応をした統計を取り始めたが、毎年、その件数を増加させているのだ。2021年は約21万件もあり、これでは「こども家庭庁」が必要とされて当然であろう。毎日新聞によれば、身体的な虐待を伴わない「心理的虐待」が約12万5千件もあり、対応した6割に達するという。子どもの眼前で配偶者に暴力を振るうDV(ドメスティックバイオレンス)や、子どもに暴言を吐くなどの「心理的虐待」が多いらしい。

 次に多いのは「身体的虐待」である。そして、「ネグレクト」(育児放棄)と続く。暴力を振るう両親や保護者がいるのかと思うと胸が締め付けられる。現在の日本では、先進国の国々同様、どんな場においても暴力は許されない社会となっている。ましてや、子どもに暴力を振るうのは認められない。「しつけ」と「愛情」をはき違えてはならず、暴力は追放しなければならない。「ネグレクト」は、親が遊びに夢中になって子どもの存在を忘れてしまうケースもある。また、病的で育児放棄する親や保護者がいたりする。

 児童虐待の相談の約半数は警察である。警察は児童相談所と連携して対応しているが、子どもからの相談もある。2022年6月、児童福祉法が改正され、子どもの権利擁護の環境整備のほか、児相が子どもを一時保護する際に司法審査の仕組みを導入することや子育て世帯を包括的に支援する「こども家庭センター」の設置などが盛り込まれた(毎日新聞)。子どもが虐待を受け、自らが児相や警察に相談に行っても、手厚い保護を受けることができるように法を改正したのである。

 2023年4月、「こども家庭庁」が発足する。虐待対策に関する諸問題をこの役所が引き継ぐことになる。が、子どもの相談に関しては、自治体が率先して行うべきだと思われる。人権擁護の問題であるに加え、身近であり、対応を迅速に取ることができる。

 毎日新聞の報道によれば、東京都世田谷区では「せたがやホット子どもサポート」を設置していて、社会福祉士や公認心理師などが相談対応に当たっているという。児童虐待問題も、やはり自治体の力でゼロにし、子どもたちが安心できるようにしてほしい。

 
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