【地方再生・創生論 285】教員に「感謝の気持ち」伝える日を 松浪健四郎

  • 2022年11月26日

松浪氏

 母の日、父の日、敬老の日等のお祝いを、私たちは昔から当然のものとして行事化してきた。昨今、政府は休日が多すぎるという雰囲気に押され気味で、祝日を作ろうとはしない。私は、ぜひ、「教師の日」を作るべきだと考える。

 かつて、教師を労働者として扱う風潮も見られたが、やはり私は「聖職」だと決めつけている。私自身も永い間、教壇に立ったが、生徒や学生に少なからずとも影響を与えたと自負している。

 特に小学校の教員は、極めて多忙でブラック職だとちまたでささやかれている。労働時間が長すぎる上に、児童の両親や家族の対応に追い込まれる。若い経験不足の教員であれば、精神的におかしくなってしまう。「教師の日」を設けて、国民が教師に感謝する習慣を取り戻したいものだ。

 高学歴の親たちは、教師を尊敬せず小馬鹿にしてはいまいか。また、教師は日々の研さんを忘れず、児童のために全力投球しているだろうか。その先生を子どもたちが好きになれば、子どもたちも学習に取り組む。教師としての魅力が大切である。

 近年、小中高校の教員採用試験の受験者が減少気味であるのは、教師という仕事に憧れる若者が少なくなっているからだ。教員に対する人気低迷は、学校教育の危機でもある。大量採用された年代が定年退職期を迎え、その交代として採用人数の増加もあるが、人気は低迷中である。本当にブラック職として決めつけられているのだろうか。私どもの日体大は、教員養成が目玉だけに、昨今の状況が気にかかる。都道府県の各教育委員会は、どんな工夫をすれば受験者を増加させ得るのか、本気に研究する必要がある。

 小学校教員の採用試験の全国平均競争率は、令和4年度は2・5倍であった。過去最低であるがゆえ、質に問題がないか不安になる。35人学級が令和7年までに実施されるに加え、高学年では教科担任制も始まる。優秀な人材が求められるというのに、応募者が減少とは魅力のない職業ということに尽きようか。

 東京都や神奈川県、京都府、大阪府等の教育委員会は、青年海外協力隊員を体験した者に対し、第1次の学科試験を免除して、国際人を教員として採用しようとしている。途上国の悪環境下で、国際協力のために汗した帰国隊員を教壇に立たせようと優遇策を講じているのだ。ただし、教員免許の取得者に限られるため、それほど応募者が多くないという。

 小中の義務教育の学校では、児童・生徒に刺激を与えられる先生が好ましい。異国の体験を語られる先生がおれば、児童・生徒たちは瞳を輝かせる。各教育委員会は、経験豊富な教員を採用したいのだが、新卒の若い教員だと心配になるだろうし、教科担任制の導入が本格化するにつれ実力ある教員が求められる。

 私の日体大では、「集団行動」という歩行するだけの演技がある。いつもテレビ放送されるため有名だが、これに参加した学生たちの採用試験での合格率はすこぶる高い。採用者側の試験官が、「集団行動」を知っていると思われる。厳しい練習を行い、見る者は一糸乱れぬ各種の歩行に感動を覚える。鍛えられた人材、組織の中で脱落しなかった人材こそが教員にふさわしいのだろうか。

 いずれにせよ、保護者のみならず、社会全体が、「教員を尊敬する」状況を私たちが作る必要がある。

 ベトナムでは、毎年11月20日が「教師の日」で、国民が教師への感謝を示す。私の娘がベトナムで教師をしていたが、皆がお祝いをしてくれたという。日本でも教師や自衛官、警察官、消防士等を敬う日を設け、感謝する気持ちを伝えるべきである。

 そこで、国がやらないのなら、各自治体が条例で「感謝の日」を作ったらどうだろうか。私たちに必要な職業に就く若者が減ってきた原因は、社会で尊敬されていないからである。「教師の日」を自治体で定め、その日は学校でお祝いをするようにしてほしい。魅力ある仕事というのは、給料だけではなく「誇り」なのだ。

 
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