【地方再生・創生論 266】多様性を認め合う社会の実現へ 松浪健四郎

  • 2022年7月1日

松浪氏

 イスラム原理主義を標榜(ひょうぼう)するアフガニスタンのタリバンが、政権を樹立してかなりたつ。女性の教育や就労を認めないほどの原理主義、これでは多くの国々は承認できず、孤立化せざるを得ない。時代錯誤を通り過ぎ、原理主義に拘泥する。私はタリバンの幹部と会談したのは1997年7月、原理主義に閉口した。

 女性の社会進出を認めず、女性隔離の習慣を踏襲しようとするのだから、私たちの説得に耳を貸さない。が、よく考えれば、戦前の日本でも、女性が自由に活動・活躍できる社会ではなかった。豊かになり、女性も教育を受けることのできる環境が整備されると、だんだんと女性が社会進出を果たす。もしかすれば、タリバンたちにも時間が必要なのかもしれない。とりあえず、イスラム原理主義一本槍(やり)だ。

 平成11年6月、「男女共同参画社会基本法」が施行された。この法律の審議に、与党の一員として参加した。男女の人権が尊重され、社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現する目的を持つ法律だ。

 前文に書く。「性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、緊要な課題となっている」。そして、「社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図っていくことが重要である」と続ける。法律にするまでもないことだが、当時の日本社会は女性差別が定着してもいたのだ。

 私は質問に立った。「国民の責務として、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成に寄与するように努めなければならないとあるが、もし女性が力士を目指した場合、日本相撲協会は拒否できるのか」と質した。政府答弁は、「拒否できないが、弟子を取る親方が入門を認めるかどうかにかかっている」とした。笑いを誘う質問だったが、男女平等を印象づける法律であることを審議を通して学んだ。

 この法律の9条は、地方公共団体の責務について記す。「その地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」。で、各自治体は、特色ある条例を定める。

 東京都世田谷区は、「多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」を平成30年に施行した。同性カップルや外国人であることを理由にアパート入居を断ったならば、条例違反だ。罰則規定はないが、区は差別や不当な扱いを許さない姿勢をうたい上げる。

 「男は仕事、女は家庭」という昔の固定的な性別役割分担意識や民族、国籍の違いにとらわれず、多様性を認め合う社会の実現を私たちは目指さねばならない。世田谷区は、男女共同参画先進事業者を毎年表彰し、啓蒙に努めている。また、「男女共同参画プラン」や「多文化共生プラン」等の施策を推進し、実施状況を評価・点検して公表している。

 イスラム原理主義のタリバン勢力も、日本の法律や各自治体の条例を学び、女性の権利をはじめ、多様な存在の人々の権利や平等を政治に生かす必要がある。でないと、国際社会は国家承認をせず、支援を行わない。かつての日本社会も、多様性を認めない偏見で満ちていた。しかし、「男女共同参画社会基本法」が成立して以来、各自治体も特色ある条例を施行、国際社会並みに理解が深まってきた。

 私たちは、常に柔軟に対応できる社会をつくり、少数派に属する人たちにも理解を示し、あらゆる面で偏見のないようにしたい。社会も変化するが、それよりも先に私たちの心情も変化させねばならない。地方では、まだまだ多様性を認める風潮がないため、条例を作って住民に現代社会のあり方を伝える必要がある。マイノリティー(少数派)の保護だ。

 ある女子大で、レズビアンが多くて困っていると耳にした。欧米の大都市では、ホモセクシュアルが一般的に多くいるが、かかる人々を認知する時代に私たちは生きているのだ。

 
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