【地方再生・創生論 258】プラ新法で増える自治体の負担 松浪健四郎

  • 2022年4月29日

松浪氏

 月曜日と金曜日は生ゴミと燃えるゴミを近くの公園の集積場に出し、火曜日はダンボール、古新聞、そしてプラスチックゴミを出す。私の朝の仕事である。

 木曜日は、ペットボトル、ビン、缶等を出すのだが、住民の皆さんはルールをよく守っているのに感心する。家庭にあっては、きちんとゴミを分別して袋に詰めておかないと困る。わが家も習慣としてルールを守る。これも私の仕事だ。

 ゴミは資源である。再利用、再活用できるため、住民一人一人が注意し、ルールを順守する必要がある。

 私の住む横浜市は、何年も前からゴミの分別を徹底させ、カラス等のゴミ場荒らし防止のための組立てネットが用意されていた。民度の高さもあるのだろうが、街にゴミが散乱していないのは気持ちいい。

 2022年4月から新法である「プラスチック資源循環促進法」が施行された。自治体の努力義務とされる家庭のプラスチックゴミの分別回収について、施行後3年以内に導入を検討する自治体や広域行政組合は、環境省の調査では少ないため頭を抱えている。

 海洋プラスチックゴミを食べてしまって死ぬ鳥や亀の映像をテレビでよく見るが、新法をもってしてでも動かない地方政治、困ったものだ。自治体の財政負担が大きすぎるに加え、政府の応援が小さすぎるらしいのだ。

 分別すれば、回収回数を増やさねばならないだけではなく、リサイクルできるプラスチックゴミとそうでないゴミを手作業で選別する必要も生じる。

 プラスチックゴミの約2割は汚れていたり、医療廃棄物やバッテリーが交ざっていたりする。リサイクルに回せないゴミも多いため、選別業務の費用がかさむという。それゆえか、熱心に分別回収に取り組もうとする自治体や団体が少ないのだ。

 だからといって、この新法を無視するような自治体であってはならない。気候変動等の問題は、これらのゴミの削減と再生利用の拡大にかかっている。努力義務とはいえ、可能な限りプラスチックの皿や入れ物をなくす工夫が事業者に求められる。また、飲食店や小売店では、プラスチック製品(鉢やスプーン)の有料化も義務付けられる方向にある。

 プラスチック容器のなかった時代を想起するがいい。竹の皮や葉蘭(ばらん)を用いた弁当やすしの記憶がある。魚屋さんでは新聞紙が包み紙だった。が、ほとんどプラスチック容器へと転じてしまった。便利で衛生的であるのは確かだが、環境面で地球に負荷をかけるようになる。どの家の庭にも葉蘭が植えられていたが、マンション暮らしでは無理だ。笹の葉だってよく使われ、庭の下草として植えられていたことを想起する。

 家庭ゴミでは、容器包装リサイクル法に基づいて、食品トレー等のプラスチック容器の分別回収は多くの自治体や団体では進められてきた。だが、新法では洗面器等の容器以外の広範囲にわたるプラスチック製品も対象となる。燃えるゴミとして、多くの自治体は扱っていたりするが、新法では回収体制の強化やゴミ選別施設の整備と処理費用の負担は各自治体持ちとなっている。

 そもそもプラスチックゴミの定義付けが難しいし、その対象品目は各自治体が決める。基準のないゴミ、これらは選別されて破砕、圧縮の処理後、リサイクル業者に費用を支払って引き取ってもらうことになる。金がかかるのだ。自治体の悲鳴が耳に響く。

 プラスチックの再生素材の利用を政府は倍増させようと考えているが、まず自治体への補助を優先させねばならない。また、自治体も住民に応分の負担をお願いする必要もあろう。

 プラスチックゴミの問題は、国も自治体と共同して解決できるのだが、各自治体の取り組みも一様ではない。新法は必要な法律だが、努力義務という甘い法である限り、全国で徹底できるのか疑問である。厚い補助金を出さねば、自治体は動かない。

 (参考・読売新聞 令和3年12月10日号)

 
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