【地方再生・創生論 241】動物愛護法が改正される 松浪健四郎


松浪氏

 野鳥を呼び込むために、庭にエサ箱を設置した。秋から春にかけてエサ箱にさまざまなエサを入れ、野鳥の飛来を楽しんだ。図鑑を買ってきて、鳥の種類を調べる。ムクドリ、オナガドリ、メジロ、スズメ、ホオジロ等が時間ごとに訪れる。だが、高円宮妃殿下の講演を拝聴して、このような野鳥の扱いは自然のために良くないと教えられた。

 勝手に自然の動物愛護だと決めつけていたが、逆に自然の動物のためにならないのだという。私たちは、時に愛護を誤解する。そういえば、知床半島のヒグマと共存する漁師たちは、エサを与えないらしい。与えると人間を頼るようになり、自然界で自力でエサを求めないようになるからだ。よく考えれば、人間の教育だって自立するために必要なのだから、楽をして生きていこうとする者をいさめる。

 だが、私たち人間には、動物を愛護する心を涵養(かんよう)する義務がある。数年前、ある小学校で子豚を飼って子どもたちが世話をしていた。その豚が大きくなり、豚肉を食することになったが、児童たちは豚の処分に反対した。愛情をもって育てたがため、家畜が愛玩動物に転じてしまったのだ。

 このほど、韓国では犬の肉を食することを禁止した。数年前、武部勤自民党幹事長(当時)が、副幹事長の私たちを連れて、瀋陽・旧満州を訪問した。総書記の李克強氏(現在の中国首相)は、官邸で歓迎会を開催して下さった。赤いおいしい肉をいただいた。それが犬だったので驚いたことを忘れない。

 古代から人間と共に暮らしてきた犬の肉を食するのも文化だろうが、日本人の食習慣には犬肉を食材には使用しない。ゾロアスター教(拝火教)の聖典とされる「アベスタ」の中の小アベスタに、「犬を飼え!」とある。大切な家畜をオオカミから守ってくれる生活上のパートナー。現在でも中近東の遊牧民たちは、クーチィ犬と呼ばれる犬を帯同する。古代エジプトでは、愛犬をミイラにして敬った。

 現在の私たちは、犬に助けられてもいる。盲導犬、介助犬、警察犬、麻薬探知犬、地雷探知犬等、犬の活躍は私たちを助けてくれているが、この犬の肉を食材にする民族もいるのだ。かかる民族の住む国には、動物愛護のための法律なんてないのだろうか。

 獣医学部を持つ大学では、学生たちの多くが犬や猫の小動物を専攻するため、牛や馬等の大動物を専攻する学生が少ないと嘆く。街にはペットショップがあり、犬に関する店や動物病院が繁盛している。少子高齢化は、家族の一員として犬や猫を飼うことを奨励しているかに映る。ペットショップには、多種類の犬や猫等が売られているが、あまりの高価さにビックリ。ペルシア猫なんて、イランに行けば野良猫もペルシア猫だが高価だ。

 令和2年6月、動物愛護法が改正された。悪徳業者による動物虐待を防止する目的もあるが、動物所有者が順守すべき責務を明確にしたばかりか、その罰則を強化した。犬や猫の出生後8週(56日)を経過しない子犬や子猫の販売は認められなくなった。また、動物の殺傷や虐待行為は重罰化された。例えば、殺傷は以前では懲役2年、罰金200万円だったが、懲役5年、罰金500万円へと改正された。で、虐待については、従前は罰金100万円だけだったが、改正後は懲役1年を追加した。さらに、令和4年4月よりマイクロチップの装着・登録が義務化されることとなったのだ。

 もし、日本で犬を食べるとしたなら、懲役5年か罰金500万円の可能性がある。動物愛護法が厳しくなったことを理解しておかねばならない。

 犬もストレスがたまると、飼い主の言うことを聞かなくなる。散歩も日課とし、各自治体は犬の遊び場も準備する必要がある。高速道路のパーキングエリアには、遊び場が欧米並みに設置されている。その遊び場が、飼い主たちの社交場ともなっているのがほほ笑ましい。狂犬病のなくなった日本、きちんと教育すれば、犬や猫は私たちを癒やしてくれる。自治体は、保健所と連携してペットを守ってほしい。

 
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