【地方再生・創生論 235】「ウインドファーム」を作る時代 松浪健四郎

  • 2021年10月25日

松浪氏

 デンマークのコペンハーゲンの空港からスウェーデンに向かって飛び立つ際、航空機はすぐに洋上に出る。目に入るのは、日本ではなかなか見られない風力発電の白いタワーの風車だ。数え切れない量の風車、熱心に再生可能エネルギー政策に取り組んでいる様子が伝わってくる。風向きの関係なのだろう、風車の羽根の向きが異なる。これは世界初の商業洋上ウインドファーム(デンマーク・ミドルグリュデン)、圧巻であった。

 スウェーデンからデンマークに戻るのに、私は自動車を用いた。両国を結ぶ海峡大橋を通行したが、左側に設置されたウインドファームがよく見えた。上空からでは理解できなかったが、連絡橋からでは高さのある風車だと分かった。デンマークの新しい社会インフラらしく、2000年にコペンハーゲンの沖合に完成したという。美しい青い海に、白いタワーの風車がマッチしていた。側を走るヨットが小粒に見えたのは、風車が大きいからだ。

 日本で洋上のタワー風車に取り組んでいる企業は、建設業界大手の鹿島建設である。すでに秋田港、能代港での洋上風力発電施設工事を始動させている。

 洋上風力の発電形態には、着床式と浮体式がある。日本の海は、比較的深いために着床式は難しいらしいが、港湾近くの海はそれほど深くないために着床式が採用されるという。

 二階俊博先生が、経済産業大臣に就任された折、風力発電導入の機運が高まりつつあった。国土の多くは山、その山岳部に脱炭素のためにグリーン成長戦略上、風力発電の導入こそが急務に映った。CO2をはじめ、温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギーの利用こそが大切である。

 ただ、自然の風が吹いてこそ発電するため、供給量にムラがあって安定したエネルギーとなっていなかった。だが、風車の研究と開発が進み、安定した風を得ることのできる適地の選定をきちんとやれば、大エネルギーを手中にできるという。
 全国のあちこちで経産省等の協力を得て、山の頂上、尾根に風力発電のための風車を散見することができた。

 だが今や、「ウインドファーム」を作る時代である。2基3基の風車の設置だけではなく、大規模な風車村を作って脱炭素社会を実現させねばならない。もちろん山岳部でもいいが、科学的には年間を通して風況のよい海上も適地であるという。

 事業主が民間企業が多数を占めるだろうが、自治体の理解と協力なくして風力発電所たるウインドファームの設置は困難である。美観の問題や電気の輸送路問題等も民間の力だけでは解決は難しく、どうしても公共団体の関与が求められる。

 原子力発電所や火力発電所を建設する場合、住民の反対運動は強烈であったが、風力の場合は平野部でないだけに理解は得やすい。それだけに自治体は、まず風況調査・研究を行い、適地を探すことから始めねばならない。鹿島建設は、すでに全国30カ所で風力発電のための建設を行っていて、十分な資料を持つ。

 政府は、2050年までに再生可能エネルギーの割合を現在の18%から50、60%まで引き上げる目標を内外に明示した。実現させるためには、風力発電が有力視されているが、各自治体の協力が求められる。

 ウインドファームを山岳部か洋上に作るにしても、相当な経済効果が見込めるにとどまらず、雇用効果もある。ただ、新しい事業ゆえ、地元の協力なくしては問題の解決は難しい。

 洋上なら漁業組合、山岳部の一帯は国有林や保安林なら政府、また地元の森林組合との協議も大切だ。自治体の関与なくして困難であり、政府の目標も水泡と帰す。

 東日本大震災以後、「再エネ発電の設備に係る国有林野の貸付条件を緩和する」という規制改革が行われた。従って、風さえ吹けば、どこでもウインドファームを建設することができるのだ。自治体の行動と調査・研究に期待したい。

 (参考「KAJIMA」NO.741,2021 May)。

 
 
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