
19年に採択された科学研究費助成事業「科研費」の5カ年研究「大規模災害からの観光復興に関する考察―電源地域・主に原子力の事例から―」は今年、総仕上げのときを迎えている。
そこで福島の土湯温泉「水織音の宿 山水荘」の社長で、地域の観光経済をけん引してこられた渡邉和裕氏に、単独取材を申し入れた。つなげてくれたのは、秘湯・微温(ぬる)湯温泉の「旅館 二階堂」がご実家で、元JTBの二階堂晋一さん。NPO活動でもお世話になっている。
インタビューでは、原発事故後に福島が提唱した「ホープツーリズム」や、土湯温泉の地熱バイナリー発電所についてお尋ねした。資料を含め丁寧にご対応いただき、大きな収穫を得ることができた。この場をお借りして、御礼申し上げます。
取材のあと、昨年、リニューアルオープンした「紫水亭」を見学させてもらった。高品質な和モダンで、ラグジュアリー旅館らしい空間設計である。シモンズ社製のベッドが配され、眺めのよいテラスには源泉掛け流しの露天や半露天風呂を完備。バリアフリー対応の客室は、車いす利用者でも手が届くように電気のスイッチを低めに配置した。紫水亭専用の食事処「桃里」は、プライバシーが保たれた個室料亭で、こけしの箸置きが可愛らしい。渡邉いづみ女将のセンスが光っていた。
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