美容室は、徒歩圏内と決めている。あまり得意じゃないから、遠くまで行きたくないのだ。コロナ禍もあって、3年間美容室から遠のいていた筆者、手が付けられなくなり、ついに8月、ネットで新たに見つけた店へ。全個室、移動レスといううたい文句に引かれた。
店名は、米国建築家ルイス・サリヴァン氏の言葉が由来の英語で、直訳は「形態は機能に従う」。つまり、機能性を追求すれば、デザインは自ずと良い物になるという意味のようだ。髪質を改善し、髪本来の美しさを提供したいとの思いから名付けたのだろう。
筆者が飲食店にアドバイスを求められた場合、口コミが重要な今、覚えにくい長い名前や難しい漢字は避けた方が良いと話すのだが、同店の名は正直チト覚えづらい。でも、それは志の高さ故だと思えるくらい、中身が充実しているのだ。
先日、2回目の訪問を果たした。年に1度行けばマシだった美容室に、たった3カ月で再訪なんて! それだけくつろげたということ。1人分ずつスペースが仕切られ、そこに移動式のシャンプー台まである。客はいったん席に座ったら、会計を済ませるまで1度も動かなくて良い仕組みだ。その名の通り、髪質改善もしっかり研究されている。
2回目には、担当していただいている同店代表と、いろいろ話せるようになった。筆者が食関連の仕事をしていると知った代表、「食べた物や飲んだ物が髪に影響するってご存じですか?」と。だから薬物検査に毛髪を用いるのだと言う。確かにザックリ言えば、毛根にある毛球に、毛細血管から栄養が運ばれて毛髪が作られるワケで、至極当然だ。
続いて「髪に良い食べ物ってご存じですか?」と。何となく、ワカメとかひじきと思っていたが、意外な答えが返ってきた。まずタンパク質、そして亜鉛が多い食材だと言うのだ。髪の成分は、ほとんどがケラチンというタンパク質なのだと。知らなかった! そのタンパク質の合成に必要なミネラルが亜鉛だ。亜鉛は細胞を新たに作り変える際、重要な働きをするので、新しく毛髪が生えるためには必須。でも、タンパク質は肉や魚って分かるけど、亜鉛はスグ思いつかない。実は、最も含有量が多いのがカキ。次いで豚レバーや牛肉。帆立やカニ、チーズなどにも多く含まれている。
かつてブームとなった「美魔女」の方々は、毎日サーモン等サケ類を食べているのが共通点だとも、彼から教わった。タンパク質やビタミン類の他、抗酸化作用が強く老化防止効果が期待できるアスタキサンチンが多く含まれている。皮はコラーゲン豊富なので、残したらもったいない。全てお肌に良い成分だが、白髪防止にもなるらしい。
ワカメやひじきも間違いではない。皮膚や髪を健康に保つミネラル、ヨウ素が豊富なのだ。調理師免許の試験に栄養学があったのに…忘れちゃイカン!
食べる物が体を作ると分かっていたものの、髪までとは思い至らなかった。目指せ、健康な髪♪
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。