【口福のおすそわけ 434】千煽四季豆 竹内美樹

  • 2022年11月1日

竹内氏

 旅先で味わって、コレは帰ってから再現してみたいなと思うことがある。中国の「干煽四季豆(ガンビエンスージードウ)」もその一つ。四季豆とは、インゲン豆。年中採れるから付いた名で、日本でも年に3度収穫できるから「三度豆」と呼ばれるのと同じだ。要はインゲン豆のひき肉炒めなのだが、日本で食べる物とチョット違う。何だろう、この風味は?と不思議だったが、ある時、中国通の知人に教わって謎が解けた。

 その正体はラムチョイ。カンランサイ、つまりカラシ菜とオリーブのオイル漬けで、中国では調味料としてポピュラーだそう。地域によって風味付けに使う漬物はさまざまで、ラムチョイは香港、四川では芽菜という青菜のしょうゆ漬け、天津では冬菜の漬物などなど。

 この料理、ネットで検索してみると、四川料理として紹介されたり、台湾家庭料理のレシピとして掲載されている物も。味付けも、甜麺醤(テンメンジャン)入りの甘めの物から、唐辛子タップリの辛そうなものまでいろいろ。あまり堅苦しく考えることもなさそうだ。だが総括してみると、うま味の素として、漬物類と、戻した干しエビは入れた方が良さそうだ。

 ググっていたら、あるプロの料理人のレシピに目が留まった。漬物は搾菜を使っているのだが、「朝天辣椒」を入れろという指示が。コレは四川省特産の丸っこい形の唐辛子で、天に向かって育つのでこの名が付いたそうだ。空豆みたいだ。ただ辛いだけでなく、とても香り高いらしい。

 イマドキ、大抵の物はネットで手に入る。まずはラムチョイ。見た目はのりの佃煮のよう。香港では万能調味料として重宝されているそうで、お粥に載せて食べれば、一気に中華粥っぽくなるという。確かに、塩味の漬物がオリーブ油でまろやかになり、うま味が増した感じのモノで美味。

 お次は朝天辣椒。そこでチト迷った。乾燥唐辛子自体も売っていたのだが、最近、この唐辛子を使った瓶詰調味料が「辛いけどハマっちゃう」とネットで話題になっていたからだ。結局、人気の商品を試してみることに。コレがまぁ辛いの何の! 一口なめただけでゴジラになってしまった。

 できればしょうゆは中国のたまりしょうゆ「老抽」を使いたい。真っ黒なのに味は思いの外薄く、塩分も少ない。現地では味付けよりむしろ色付けに使われ、東坡肉(トンポーロー)に欠かせない。色が薄いのに塩味が強く、日本の薄口しょうゆと似ているのが「生抽」で、コレにカラメルを加えて熟成させると「老抽」になるらしい。甘くとろみがあり、コクや照りが出やすい。

 必要な材料は全てそろった。あとは調理するのみ。インゲン豆は素揚げして、いったんお休み。みじん切りのニンニク、細かく刻んだ干しエビ、ラムチョイ、一さじの朝天辣椒と豚挽肉を炒め、甜麺醤と老抽で味を調え、インゲン豆を戻して炒め合わせれば、干煽四季豆の出来上がり! おぉ、中国で食べたあの味だ♪…って、腕じゃなくて、ほとんど本場の調味料の力だ。でも、食材選びも腕のうち、なんて、悦に入る筆者であった。

※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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