【口福のおすそわけ 433】おうちで「へぎそば♪」 竹内美樹

  • 2022年10月22日

竹内氏

 日本三大花火大会の一つ、新潟県「長岡まつり大花火大会」。コロナ禍で2年間の中止を余儀なくされたが、この夏、3年ぶりに開催された。毎年のように訪れていた筆者も、全長約2キロに及ぶ「復興祈願花火フェニックス」など、久々にスケールの大きな花火を堪能できると心躍らせていたのだが、残念なことに仕事で都合がつかず、行けなくなってしまった。

 花火の前に必ず立ち寄るのが、長岡市の隣の小千谷市にある「元祖小千谷そば角屋」。1889年創業の小千谷そば、つまり「へぎそば」の老舗だ。同行予定だったメンバーが女将さんに、「竹内がものすごく楽しみにしていたのに、来られなくてとても残念がっていた」と伝えてくれたからだろう、後日、女将さんが、へぎそばを送ってくださった。

 へぎそばについては、かつてこのコラムで書かせていただいた。いつ頃だっけ?と確認したら、2014年10月とずいぶん前だ。そこでちょっとおさらい。へぎそばとは、つなぎに布のりを使ったそばを、ひのき材を薄くはいで作った「へぎ」と呼ぶ角盆に並べた物。ゆでたそばを一口分ずつ振りながら取り上げ、糸束のように丸めながら並べるため、「手振りそば」とも呼ばれる。

 小麦が採れないこの地域で、代わりに布のりがそばのつなぎになったのは、国の重要無形文化財でユネスコの無形文化遺産にも指定されている特産品「小千谷縮」を作る際に使っていた布のりが、とても身近な存在だったから。

 海藻をつなぎにして、水は一切入れないへぎそばは、コシが強く、つるんと喉越しが良いのが特徴。江戸っ子の食べ方と違って、つゆにどっぷり浸けていただく。東京のつゆに比べ、味付けもずっと柔らかい。

 同店のつゆは、飲んでしまいたいほど美味。ヒミツは、天日干しとカビ付けを繰り返し、2年以上かけてうま味が凝縮された最高級の本枯節を、厨房で削って使っているから。そのつゆは風味が強いのに雑味がなく、塩味は薄くてもしっかりとした味わいがある。

 同店は今年の春、ショッピングサイトをリニューアル。現地まで行かなくても食べられるのはありがたい。商品は生そばとストレートの自家製つゆ、七味唐辛子のセット。現在、店舗ではわさびと七味を両方提供しているが、近隣でわさびが採れないため、昔、薬味は唐辛子や和がらしが主流だった。

 生そばだけでなく、冷凍生そばも扱っている。通常の生そばだと、賞味期限が季節により3~4日のところ、冷凍なら1カ月持つのだそう。急速冷凍により打ちたてと同じ鮮度が保たれており、食べたい時に冷蔵庫で解凍し、生そばと同じようにゆでれば良いというから、とても便利だ。

 ゆで方のしおりも付いているので安心だ。頂いたへぎそばは、現地同様海苔をタップリ添え、つゆにすりごまを入れて食した後、店のメニューにはない「ざるとろろ」でも楽しんだ。自由な食べ方ができるのも家ならでは。おうちでへぎそば♪ 口福に乾杯!

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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