【口福のおすそわけ 422】豆腐干絲 竹内美樹


竹内氏

 人気レシピサイトの「食トレンド予測2022」に選ばれた、話題の食材「豆腐干絲(トウフカンスー)」をご存じだろうか?

 その名の通り、原料は豆腐。圧力をかけて脱水し、軽く乾燥させた「豆腐干」を、細く切ったものが豆腐干絲だ。中国や台湾では、ごく一般的な食材である。

 今ナゼそんなに注目されるのか?…コロナ禍の運動不足で太っちゃった↓糖質が気になる↓麺類はNG↓でもやっぱり食べたい!という時の代替麺として蒟蒻(こんにゃく)麺や大豆麺などがあるが、ちょっぴり物足りない場合も。一番の不満は食感だ。ぶにょぶにょと軟らかいモノが多いが、豆腐干絲はしっかりしたかみ応えがある。そして本来、代替麺ではなく中華食材だったワケで、和え物や炒め物、煮物などさまざまな料理に使えるのも魅力の一つ。メーカーによるが、中華麺と比べて糖質は90~94%オフ、タンパク質は3~5倍と、低糖質高タンパク、グルテンフリーのヘルシーさがウケているのだ。

 豆腐を干すといえば、日本にも高野豆腐や凍(し)み豆腐などいわゆる「凍(こお)り豆腐」があるが、どう違うのか? 凍り豆腐は豆腐を凍らせる工程があるためスポンジ状になるが、中国の豆腐干は圧縮のみなのでギュッと詰まった状態で固まる。つまり食感が真逆なのだ。

 店に豆腐干絲の冷菜があれば必ずオーダーするほどの好物だが、以前はあまり流通しておらず、家では食べられなかった。それが最近、通販で購入できるようになってきたのだ。中国製の冷凍品が多いが、国産の冷蔵品もある。愛知県の「おとうふ工房いしかわ」という大豆加工品製造販売会社の商品「豆干絲」で、国産大豆を100%使用している。スーパーモデルの冨永愛氏がメディアで紹介したことで人気に火がつき、一時は入手困難に。実は筆者も、同商品のファン。

 他社商品と異なるのは、調理水が添付されている点。豆腐を極限まで薄く伸ばして脱水したシートを細く切って麺状にしてあるので、食感はかなり硬め。だが、重曹を溶かしたアルカリ水で煮ると、表面が滑らかになるのだ。でも、重曹をいちいち計量して溶かすのは面倒。それが付いているから、とっても便利♪

 細切り野菜と和える、台湾料理の定番「涼拌(リャンバン)干絲」は、よくセロリやニンジンが入っているが、筆者は赤や黄色のパプリカで少し華やかにして、花椒(ホアジャオ)油を効かせてシビ辛にするのが好き。味付けは鶏ガラスープの素に頼るだけなのでラクチンだ。おろしニンニクも入れるとビシッと決まる。

 台湾には「干絲炒肉絲(チャオロウスー)」という青椒(チンジャオ)肉絲に似た料理もあるそうだが、甜麺醤(テンメンジャン)やオイスターソースを使った、ちょっぴり濃い味の炒め物にしても美味。ちなみに冨永女史は、タイの焼きそば「パッタイ」にするのがお好みのようだ。確かに、ライスヌードルで作るより、ずっとヘルシーだろう。

 油で揚げると堅焼きそば風になるそうなので、今度トライしてみたい。いろいろなバリエが楽しめる豆腐干絲、ぜひお試しあれ!

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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