【口福のおすそわけ 398】白菜 竹内美樹

  • 2022年1月30日

竹内氏

 寒さで甘みが増す冬野菜。中でも代表格は白菜だ。寒くなると、白菜は自身が凍らないように、細胞に糖分を蓄えるようになるという。だから甘いのだ。

 この時期わが家でも、白菜は八面六臂(ろっぴ)の大活躍。まず、鍋料理には欠かせない。今マイブームなのが鶏団子鍋。みじん切りにしたえのき茸とはんぺんを入れたフワフワの鶏団子の鍋で、相棒は当然白菜だ。

 ミルフィーユ鍋も良い。白菜と豚バラ肉を交互に詰めて、あとはその時の気分に合っただしを入れ、火を通すだけの簡単さ。和風もいいけど、ブイヨンで洋風にしてもおいしい。白菜の水分だけで重ね蒸しにしても美味。ひき肉でもイケる。ベーコンと共に洋風のクリーム煮にするのもイイ。クリーム煮は中華風もOK。八宝菜や、筆者の好物五目あんかけ焼きそばの具にも、白菜は必要不可欠だ。

 生でも美味。定番は、知人の家の庭で実ったゆずの皮を入れた浅漬け。サラダやナムルなんかもグッド。キムチの素を好みの味に変えて、サッと作る即席キムチもウマイ。四川風の甘酢漬け「辣白菜」も忘れちゃいけない。この辺りは、お酒のアテにピッタリ。

 冬になるとネットにも、「白菜大量消費レシピ」なんていう文字が躍るようになる。各家庭それぞれに、いろいろな食べ方をしているのがうかがえる。今ではむちゃくちゃポピュラーな野菜だが、日本で現在のような結球種の白菜が流通するようになったのは、意外にも昭和初期ごろからだそう。

 アブラナ科の植物で、原産地は地中海沿岸。そこから中国に伝播し、栽培されるようになって結球型となったらしい。日本では幕末に結球種の栽培が始まったそうだが、強い交雑性を持つため種子を得るのが困難だった。大正時代に、松島湾の馬放島という無人島で隔離育種し、栽培に成功。松島白菜という品種となり、その後、仙台白菜として売り出されたそうだ。

 仙台白菜は全国に普及し、昭和初期には出荷量全国1位を誇ったが、第2次大戦中に交雑が進んで品質が低下してしまう。戦後やっと復活した頃には、もっと丈夫で育てやすい品種が登場しており、それに取って代わられたようだ。
 現在は、茨城県と長野県の2県で全国生産量の6割を占めているらしい。冷涼な気候の長野県では、他の産地と違って夏に白菜を出荷しており、夏白菜の8割は長野県産だという。

 そんな中、仙台白菜も再び脚光を浴びている。仙台ブランドの伝統野菜として、地元の高校などが生産に取り組んできただけでなく、塩害に強い性質から、東日本大震災で津波の被害に遭った農地での、被災地農業再興プロジェクトが進められたのである。

 今まで何気なく食してきた白菜に、これだけのエピソードがあったなんて…。スゴイぞ!白菜! その上老廃物の排出を促進するカリウムや、免疫力を高めるビタミンCが豊富で、冬の体力キープに打ってつけなのもうれしい限り。もっとたくさん食べようっと♪

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

     
 
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